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スタートは借金3000万円、エアレースパイロット室屋義秀が千葉で連覇なるか?

 世界最高の飛行技術を持つパイロットたちが挑むレッドブル・エアレース・チャンピオンシップ。最高時速370km、最大負荷10Gで大空を舞いながら、1000分の1秒を争うこのレースは、世界中で年間8試合行われるが、ついに第3戦がここ日本の千葉・幕張で開催される。  ここに凱旋帰国し、昨季に悲願の優勝を飾ったのがアジア人唯一のパイロットでもある室屋義秀だ。エアレースのこの大舞台に出場できるのは、世界でもトップの中のトップと呼ばれる14選手のみ。レースは6月3日に行われる予選でタイムを計測し、翌4日の本戦では1対1で競い合う。

室屋義秀 撮影/Joerg Mitter : Red Bull Content Pool

 予選のタイムで、本戦7組の組み合わせが決定する。まず「ラウンド・オブ・14」では、対戦相手に勝った7人と、敗者の中で最高タイムを叩きだした1人が次の「ラウンド・オブ・8」へ進出。そこで勝てば、最終決戦となる「ラウンド・オブ4」の舞台で、優勝を争う。

個性的すぎる室屋の“同期”のライバルたち

 このレースで、室屋と1000/1秒を争うライバルたちは、ちょっと想像を超えた世界の“住人”ばかりだ。例えば、昨季に総合優勝したマティアス・ドルダラー(ドイツ)は、家が飛行場。フライトスクールも経営すれば、工場もある。  ピート・マクロード(カナダ)は、「物心ついた時には飛んでいた。いつかは覚えていない」という生い立ちだし、マット・ホール(オーストラリア)は元空軍のトップパイロットという映画『トップ・ガン』の世界を地で生きてきた選手だ。  ちなみに、3人ともエアレースでは室屋とは“同期”だが、2009年のデビュー当初、室屋が屈辱を覚えるほどに、彼らのレベルは”雲の上の存在”だったという。そもそも2006年の室屋は、エアレースでハンドリングを受注した側だったし、もっと遡れば、30歳を目前にした2002年は、環境の整わない日本で借金3000万円を背負って、競技機を購入し、「操縦技術世界一」を目指した無名の日本人だった。  何度となく挫折や屈辱を味わいながら、「自分でもしつこいと思う」と自嘲するほど、努力と奮闘を続けた室屋は、こうして10数年で別世界に生きてきた“同期”はもちろんのこと、世界に認められるトップパイロットとなった。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1341777

サンディエゴ大会での室屋のフライト 撮影/Garth Milan:Red Bull Content Pool

 室屋は今季、千葉大会連覇のみならず、総合優勝を狙う。5月のメディアデーでは、「ぶっちゃけ、機体は出場14機の中でどの位いいのか?」との質問に、「トップ3には入ると思います」と自信を明かした。本人の技術、機体、チーム、どれを取っても最高の状態にあるという。実際、第2戦のサンディエゴ大会では優勝を収めた室屋。今季の歴史的快挙を目撃しないわけにはいかない。
 この時、室屋は「皆さんの応援の力あってこそ」とも語っている。リップサービスではないという意味で、「1秒はさすがに無理でも、応援の力で0.1~0.2秒は速くなると本当に思っています」と熱弁。本大会では0.3秒くらい速くなるよう、しっかりと応援したい。  チケットは残りわずかだが、いくつかのシートにはまだ空きがある。ちなみに今年は、日本の名機「零戦」や不朽の傑作機「DC-3」といった、世界でもレアな機体がデモフライトを行う。いずれも高度を下げて低空周回(ローパス)するため、会場内でないと拝めない。

ゼロ戦が復活フライト、GLAYのスペシャルライブも

 他にも、オフロードバイクが空を舞うFMX(フリースタイルモトクロス)やBMX、ブレイクダンスなど世界トップアスリートたちのダイナミックな神業パフォーマンスも行われ、総勢14名の華やかなエアレースクイーンが登場し、モータースポーツの祭典SUPER GTのブースではLEXUS LC500がお目見え。決勝戦当日は、GLAYのスペシャルライブが行われるなど、レース以外にも見どころは盛りだくさんだ。
©Red Bull Media House 取材・文/松山ようこ
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