エアレース“サムライ”室屋が連覇達成! ファンも選手もメディアも超ゴキゲン
“サムライ”室屋義秀が入室すると、カンファレンスルームは割れんばかりの拍手と歓声に包まれた――。
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操縦桿を握る手に1mmのブレも許されない、「空のF1」と呼ばれるエアレース。実際に見ると、高速で縦横無尽にくるくると回転しながら高速で旋回する様は、まるでラジコンのように非現実的だ。
室屋は、レース当日の朝も(!)、いつも通りにメディアやファンやスポンサーに丁寧に対応していた。そして、集まった5万5000人の観客や、テレビの前で固唾を飲んで見守る世界中のファンの期待とプレッシャーを肌で感じながら、見事に母国で連覇を成し遂げたのだ。とんでもない偉業だ。
ただレースそのものは「奇跡のような勝利」と本人も振り返るほど、ハラハラの連続だった。決勝の初戦「ラウンド・オブ・14」では、マッチアップのペトル・コプシュタインを、1000分の7秒差(!!)で勝利。
まさに首の皮一枚で進んだ「ラウンド・オブ・8」では、室屋は「プッシュした(攻めた)」結果、エアゲートを規定の姿勢で通過しなかったとして、痛恨の2秒ペナルティを食らう。これで後攻のマット・ホールは、攻める必要がなくなった。
だが、そのホールが難なくゴールし、終わったと思った次の瞬間だった。「審議中」と表示されると、エアゲート通過中に機体を持ち上げたことによるペナルティ(プラス2秒)が課せられ、またしても僅差で室屋に勝利がもたらされた。
そして最終の「ファイナル4」。一番手でフライトした室屋が、ミスなく55秒288秒で見事にゴールした。そうして残りの3選手にプレッシャーを与えると、予選から54秒台を安定して叩き出していたマルティン・ソンカまでが、ここで初めてペナルティのミスを犯すなどして、あれよあれよで室屋の優勝が決まったのだ。
やや「棚ぼた」ながら、母国開催で2度の優勝は引退したポール・ボノムに次いでエアレース史上2人目の快挙。計り知れない期待とプレッシャーをどう克服したのか。
こんなに雰囲気のいいメディアカンファレンスは、野球などのメジャースポーツではまず見られない。それでいて、集まったメディアの数は「F1」とも遜色がない、メジャー級。近年ますますファンを虜にしているエアレースの千葉大会で、唯一の日本人選手である室屋が連覇を達成した。
進行役のベテランMCが会見場に選手を呼ぶため、臨場感たっぷりにアナウンスした。MCの英語を翻訳するとこんな感じ。
「さて、われわれが『空ゆくサムライ(Samurai in the sky)』と呼ぶ選手の登場です!」
次の瞬間、場内から「YEAH!」「YOSHI!(室屋のニックネーム)」の合いの手があちこちから飛び交った。日本はもちろんのこと、室屋がいかに世界で愛され、喜ばれているかがわかる。
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