ヒップホップグループ・TOKYO HEALTH CLUB――高所作業車に乗ったMVで「楽しく音楽やりたいのに」「なんでこんな目に……(笑)」
「フリースタイルダンジョン」など、ラップ・バトル/MCバトルが活況を呈するヒップホップ・シーン。一方でそういった「熱さ」と真逆ともいえる、非マッチョで文系的な精神を持ったラップや、シティ・ポップとの親和性を持つ、クールなヒップホップもシーンの中で大きな潮流となっている。その現在の筆頭に挙げられるのが3MC&1DJのヒップホップ・グループ:TOKYO HEALTH CLUB(以下THC)だ。このいわゆる「文化系」ヒップホップとも呼べる彼らが昨年リリースした『VIBRATION』は、クールで洒落た感性を作品に湛え、更に彼らの名声を高めたが、今回発売された新作となる『MICHITONOSOGU』はそういった瀟洒なセンスはそのまま保ちつつ、同時に王道のヒップホップ性をより高め、ヒップホップ・グループとしてのTHCの存在を明らかにする。新たな側面を見せる彼らの向かう先とは。
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――前作『VIBRATION』から今作『MICHITONOSOGU』までの間には、スターダストに所属する男性ラップ・アイドル、MAGiC BOYZのシングル「3.141592」をプロデュースするなど、外への広がりも強くなりましたね。
JYAJIE:繋がりが増えていったし、それが結果、色んな仕事にも広がっていって。
DULLBOY:このミニ・アルバムの収録曲の中でも、“東京Swingin’”は『WEGO』とのコラボ企画『WE GOOD TOKYO』のテーマ・ソングとして作った曲だったし、“supermarket”は『モヤモヤさまぁ~ず2』のED曲に起用して貰ったり。
TSUBAME:『VIBRATION』を出してから色んな人が見てくれるようになったと思いますね。
SIKK-O:ライヴを見に来てくれる人とか、話しかけてくれる人も増えましたね。
TSUBAME:SIKK-Oファンが増えたよね。
SIKK-O:可愛いコばっかり。
――ラッパー・ドリームだね!MAGiC BOYZのライヴにTHCが出た時も、「あの人達ってどんな人達なの?」って、マジボの中高生のファンの子が話してて。
JYAJIE:単純に「なんなのあいつら……」って感じじゃなくて?
TSUBAME:「『3.141592』作っただけの裏方がなんでライヴ出てくんの?」的な。
DULLBOY:「ツラが裏方なんだよ!」って。
――暗いわ!
SIKK-O:そういう屈折は全く変わってないですね(笑)。でもライヴや活動について真面目に考えるようにはなってますね。「良いライヴを見せるには」とか、ちゃんと考える機会は増えたと思う。今までみたいにメンバーの半分が泥酔してるようなライヴは無くなった(笑)。
JYAJIE:そういう奴もいたね~。
TSUBAME:まあ君(JYAJIE)とDULLBOYなんだけど(笑)。その意味では、見せる側としての、「プロ」としての意識は芽生えたと思いますね。
SIKK-O:繰り返し僕らのライヴに来てくれる人も増えたから、同じようなライヴを見せないようにも考えるし、しかも友達を連れてきてくれたりするから、「友達を誘ったこのコに恥かかせないようにしなきゃ!」とか(笑)。ステージの大きさとか入りによって空気が違うなって事も分かってきたし、ライヴのMCで、お客さんだった頃は「俺たちとお前たちでライヴを作ってるんだ」的な事を言われても何言ってんだ?と思ってたけど、今はその気持ちが分かるようになりましたね。
TSUBAME:ワンマン・ライヴの時に、SIKK-Oが「今日はありがとう」ってお客さんに言ったのが面白かったんですよね。「こいつもそういう事が言えるんだ」って。
SIKK-O:感謝ぐらいするわ。
JYAJIE:ライヴの最後に泣いたりとかしようよ、これから。
『MICHITONOSOGU』 “THCらしいヒップホップスタイル”を感じられる作品 |
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