更新日:2017年06月26日 14:38
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加速する憲法改正論議――党本部重鎮が語る自民党の青写真

憲法改正に向けて議論をはじめよ

 野党は平成2016年7月10日の第24回参議院議員通常選挙で、改憲勢力が憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を取ることを阻止する方針を掲げました。しかし結果は、非改選も含め、改憲に前向きな自民党、維新の会、日本のこころを大切にする党の3党と無所属、「加憲」を掲げる公明党の合計議席が、憲法改正発議に必要な3分の2に達しました。  私は湾岸戦争以来、すべての安保法制に関わってきましたが、安保法制はすべて公明党との協力で成立してきました。政治とはさまざまな意見をまとめることですから、それぞれの政党が妥協しなければなりません。にもかかわらず、憲法審査会はなかなか開かれませんでした。今回の安倍首相の発言は、憲法改正に向けた議論をしなければならないというメッセージにもなったのです。

今後の憲法改正のタイムスケジュール

 憲法改正には政局の安定が必要です。現在、「安倍1強」と言われていますが、これはある意味、政局が安定しているということです。政治家は学者や評論家と違います。現実に政治を考えて、結果を出さなければなりません。  今後の憲法改正のタイムスケジュールですが、以下が考えられます。 <2017年> ◎年内に改憲項目を絞り込み。 <2018年> ◎通常国会で憲法改正原案できる。衆参両院でそれぞれ3分の2以上の賛成で発議。 ◎国民投票は発議後60~180日の実施が規定。 ◎9月、自民党総裁選。 ◎12月、衆議院議員任期満了。 <2019年> ◎国民投票が行われる可能性。 <2020年> ◎改正憲法施行。  2018年9月に自民党総裁選がありますので、安倍総裁が再選されれば、内閣改造をするでしょう。12月に衆議院議員の任期満了ですから、その前に安倍総理が解散すれば、憲法の国民投票と衆議院総選挙が同時に行われる可能性が考えられます。憲法改正と総選挙を同時に行うことで、争点が明確になり、憲法改正の可能性が一気に高まると思われます。もちろん政治は生き物ですから、あくまでも現時点での私の予測です。  国民投票は否決されたらそう簡単にやり直せませんが、それはルールだから仕方ありません。ですから、国民の多くが納得できる案を提案していく必要があるのです。 【田村重信(たむら・しげのぶ)】 自由民主党政務調査会審議役(外交・国防・インテリジェンス等担当)。拓殖大学桂太郎塾名誉フェロー。昭和28(1953)年新潟県長岡市(旧栃尾市)生まれ。拓殖大学政経学部卒業後、宏池会(大平正芳事務所)勤務を経て、自由民主党本部勤務。政調会長室長、総裁担当(橋本龍太郎)などを歴任。湾岸戦争以降のすべての安全保障・防衛政策の策定・法律の立案等に関わる。慶應義塾大学大学院で15年間、日本の安保政策及び法制に関する講師も務めた。防衛法学会理事、国家基本問題研究所客員研究員。著書に『改正・日本国憲法』(講談社+α新書)、『平和安全法制の真実』(内外出版)他多数。最新刊は『知らなきゃヤバい! 防衛政策の真実』(育鵬社)
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