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ヒゲを隠すのに苦労する…女装男子の並々ならぬメイクへの情熱【女装小説家・仙田学】

 続いての質問はこちら。

質問③ 女装メイクは、いつどんな場所でしますか?

●Yさん 「休みの日、家でしています。外出したことはないです」 ●Iさん 「女装で外出する時です」 ●YUZUさん(@CodYuzu 「私は室内女装から始めて、新宿の女装サロンでメイクしたり、その後、イベントに行くために初めて女装外出をするようになりました。  今では普通に女装してショッピングモールなどに行けるようになりました」 ●みおさん(@miiichan1225st 「私は出来るときはできるだけしています。普通に何処でも出かけますね」 ●けーこさん 「ライブハウスの楽屋、女の子クラブのメイクブースがほとんどです」  それぞれのご回答を並べてみると興味深い。  自宅でのみ女装を楽しむ、というのは僕には究極の女装の形のように思える。一方で、女装をして外出をするに至るまでの勇気と、その代償に得られる快楽を思うと震えてしまう。  みおさんやけーこさんはすでに、女装を生活の一部に取り入れている。

④女装をしながらこんなことをすると楽しいよ! というおすすめがあれば教えてください。

●Yさん 「まだまだ、女装始めて日が浅いので……願望なのですが、女の子と女子会やプリクラ撮ったりクレープ食べたり、女子っぽいことしてみたいです。あと、女の子の友達や女装の友達を増やしたいです」  わかる……女の子の生きている世界そのものをまるごと体験してみたい、というのが女装願望の本質だろう。男の娘としてではなく、あくまでも女の子として、女の子たちの仲間に入りたい。 ●Iさん 「恥ずかしがらずに女性のお客さんが少ない時間帯を利用するのはエチケットですが、なるべく女性店員さんと趣味で女装することを隠さずにアドバイスをもらうつもりで、たくさんお話して女子トークを楽しんだり、スマホの女装画像とか見せたりもしてます。  女装外出して百貨店のブランドの派遣店員さんと仲良く姉妹コーディネートするのはウッキウキで楽しいです。初めての訪店する婦人服や女性下着売場で『プレゼントか何かお探しですか?』と、女性店員さんに尋ねられて、悪趣味ですが、『自分で着るんです♪』と答えるのが好きな時間の使い方です。  悪趣味と言えば、脇や両脚の永久脱毛も始めたのですが、女性下着のキャミソールやスリップ姿で施術して貰ってます」  悪趣味どころか、最高にハイセンスな趣味だ。  店員さんとの姉妹コーデや女子トークなど、想像しただけでも胸が躍る。僕自身この発想はなかったが、そのうちぜひ試してみるつもりだ。  Iさんは女装そのものだけでなく、他の女装男子や女性たちとの交流にも楽しみを見いだしている。 「あと、SNSで知り合った同じ女装趣味の方とお出かけとか写真を撮り合いっこしたり、お互いに秘密を守れるかなと思えたらエッチなことをしたり♪  女装専門ショップの利用から徐々にというのが、自然な流れかもですが、無駄にお高いので次が続かなくなる可能性もありますから。  百貨店の婦人服売り場や女性下着売り場、化粧品コーナー、美容院も最初の第一歩がハラハラドキドキですし、ハードル高そうですが、謙虚に私は綺麗な女の子になりたい!! 『お手伝いよろしくお願いします』って姿勢で、恥ずかしがらずに店員さんとお話することですね。  ネットショップやメルカリ、ヤフオクに利用から店舗の販売が伸びない時勢なので、今がチャンス」 ●YUZUさん(@CodYuzu 「女装をしながらイベントに参加したり、可愛い洋服等の買い物に行ったりすると楽しいですよ。  一度女装してニューハーフバーに行ったら、たまたま相手がMTF.(性同一性障害)レズビアンで良い関係になったこもあります。相手に初印象を聞いてみたら、女の子と話ができるラッキーと思ってくれたそうです。  その後も、ミックスバーに行ったらスカウトされたりしました。女装子さんの集まるお店に行くのも楽しいと思いますよ」  YUZUさんは特に、文面そのものから漂ってくる女の子感がすごい。しかも男女問わずモテそうだ。スカウトされるのも頷ける。  ここまでYUZUさんが魅力的に見えるのも、女装という本当にやりたいことをごく自然に貫いているからではないだろうか。 ●あけみんさん(@AkemiMayama 「夜の街飲みやクラブイベント等でみんなとわいわい楽しむのもひとつですが、たとえば一日女装して家事、掃除、洗濯、お料理をするなど普通の女の人としての生活を楽しむのもありなのかな、と。  最近思うのは、何も盛り場に出ることばかりが女装の楽しみ方ではないな、ということです(一人暮らしでないと難しいかもしれませんが……)」  という、あけみんさんのお話も刺激的。たしかに普通の女の人として生活をしてみるのも、女装の醍醐味を味わえる行為だろう。非日常的な空間に身を置いたり、普段は関われないような人たちと出会ったりするのと同じくらい。  話は逸れるが、長時間の女装をする場合に、僕が気になるのはウイッグだ。丸一日、頭皮が蒸れて締めつけられる状態が続けば、そのうちハゲてしまうのでは……という不安がある。 ●みおさん 「メイクについては、全てのメイクを手で仕上げるメイクを手だけで仕上げることで時間を短縮するだけでなく、メイクの腕が格段にアップします。ぜひ試してほしいです。  メイクやファッションは、自分の年齢に合った、女性のトレンドを常に意識することです。今の女性のトレンドを習得することによって、より女性らしくなると思います。  周囲から浮かなくもなりますし、より外出し易いと思います。私にとって1番は外出するのが女装していて楽しいと思います」  いまの女性のトレンドを意識すること。  これは僕も意識していたことがある。暇を見つけては、マンガ喫茶やコンビニで、女性向けのファッション雑誌をパラパラ眺めるのだ。  女性と話すときにも、ファッションに関する疑問点はガンガン訊いていく。女性のトレンドは移り変わりが激しいので、ついていくにはそれなりの努力が必要になる。 ●けーこさん 「私は女装することで満足してしまうタイプなので、そこからの楽しみはまだ自分でも見出せてないですw」  最後はけーこさんで締めくくろう。  この連載の第6回でご紹介したように、会社員とノイズコアバンドドラマーと女装家の、3つの顔を持つけーこさんの生き方は、僕にとってずっと心にひっかかり続けている。  おまけとして、初心者の女装男子向けに、おすすめの写真の撮り方をお訊きした。 「まず、フィルターアプリを使うこと女性と比べたら肌のキメが荒いのと髭の兼ね合いもあるので、女子を再現するのであれば必要不可欠です。女性も当然のように使われているので全然許されます。  それから、若干上から撮ること。上から見る事で写る顔の面積が少なくなり、目が1番大きくみえるようになります。最後に笑顔! これは私もうまくできません」  女装メイクの話を通して、さまざまな女装男子たちの努力が浮き彫りになってきた。楽しんでいただけただろうか? 共感してもらえればなお嬉しい。  ところで、ここまでご紹介してきたような女装男子たちのまわりの女性たちは、女装男子たちをどう見ているのだろうか?  次回は、そこらへんのところを探ってみたい。 【仙田学】 京都府生まれ。都内在住。2002年、「早稲田文学新人賞」を受賞して作家デビュー。著書に『盗まれた遺書』(河出書房新社)、『ツルツルちゃん』(NMG文庫、オークラ出版)、出演映画に『鬼畜大宴会』(1997年)がある
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