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小橋は予言していた!? 宮原と全日本の大躍進――小橋建太の青春おすそわけ#5【宮原健斗vol.1】

小橋:2か月半でメインイベントに上がったというのは、すごいな。健介オフィスは健介と中嶋しか選手がいなかったわけで、そこでデビューしたからには必然的に上がっていくしかない。選手にとってはキツいことなんだよ。だって2か月半なんてまだ第一試合でやってるレベルなのに、いきなりメインイベントに出て、自分がどうやって動けばいいのか分かんないよな。 宮原:いっぱいいっぱいもいいとこでした。小橋さんに頭つかまれて、チョップを思いっきりやられたのを覚えてます(笑)。でも、2か月半の人間に技を精一杯出してくれるというのは、いま考えたらすごいことだなと。小橋さんほどの人だったら、ぶっちゃけ相手しなくていいわけじゃないですか。でもそういう奴に対しても全力でチョップをするっていうのは、僕はいまだに大事にしてますね。 小橋:俺からすれば、2か月半だろうがなんだろうが、同じリングに上がったら、それは全力でいくよ。「相手にしない」っていう態度は、観に来てくれたお客さんに対して失礼だと思う。もちろん対戦相手に対しても。 宮原:あの経験があったから、僕もどんな相手に対しても全力でいくようになったと思います。 小橋:俺がデビューして1年半くらいのとき、後楽園ホールで「スタン・ハンセン&天龍源一郎vsジャンボ鶴田&小橋健太」の試合があったんだよ。初めての後楽園ホールで、メインイベント。他の3人は三冠チャンピオンになってる人たち。その中に、1年半の新人がポツンと入れられて、なにが出来る? 宮原:なにも出来ないです、自分だったら。 小橋:6人タッグとか、人数が多かったらまだ逃げられるけど、2対2だから、もう逃げようがない。相手をなんとか振り向かせようとして、ガンガンいくしかなかった。「殺されてもいい」くらいの気持ちで向っていったよ。ボコボコにやられたけど(笑)。でも、こっちが必死にやったら、向こうも振り向いてくれた。 宮原:全力で、ボコボコにしてきたんですね。 小橋:そうなんだよ。ハンセンも天龍さんも鶴田さんも、最初は「なんでこいつがメインイベントに上がってくるんだよ?」っていう顔で見てきた。それがヒシヒシと伝わってきた。宮原がデビュー2か月半だったときも、「お前がメインイベント?」っていう気持ちは俺にもあったと思うよ。でも宮原は必死でぶつかってきてくれた。だから俺も、向き合えたんだと思う。 宮原:ありがたい限りです。 小橋:俺がガンガンいって、立ち上がってこなかったらそれで終わりだっただろうけど、宮原の素質を感じたんだろうな。体も大きいし、柔らかいし、伸びていくんだろうなと思ってたよ。線の細さが気になってたけど。 宮原:少年時代から細かったんですよ。だから大きい人に憧れがあって、プロレスラーを目指したというのもあるんです。いまでもなかなか体重は増えにくい体質ではあるんですけどね。 小橋:でもここ2~3年でデカくなったよな。宮原の躍進が、全日本の飛躍に拍車を掛けたんだよ。グラフにすると、同じような伸びなんだよね。宮原は全日本プロレス復活の立役者だよ。相当、努力したんだと思う。 宮原:努力キャラじゃないんで、それはここだけの話に(笑)。  次回は、「スタン・ハンセンの○○に、宮原少年はショック……!?」乞うご期待! ※この連載は毎週土曜日に配信いたします。 【PROFILE】 ●宮原健斗(みやはら・けんと) 全日本プロレス所属。‘89年2月27日、福岡県福岡市生まれ。父親の影響で幼少期からプロレスに夢中になり、小学校3年生のとき、プロレスラーになりたいと決意。一人で試合会場に足を運ぶようになる。中学は野球部、高校は柔道部に所属。高校卒業後、佐々木健介主宰・健介オフィスに入門。2013年にフリーとなり、全日本プロレス、NOAHに出場。2014年1月、全日本プロレスに入団し、2016年2月、史上最年少で三冠ヘビー級王座を奪還。今年5月、石川修司にベルトを奪われるも、8月、両国国技館大会にて王者に返り咲いた。Twitter:@KentoMiyahara ●小橋建太(こばし・けんた) (株)Fortune KK代表取締役。’67年3月27日、京都府福知山市生まれ。’87年6月、全日本プロレスに入団。“プロレス四天王”と呼ばれるレスラーの一人。2000年6月、プロレスリング・ノアに移籍。’03年3月、GHCヘビー級王座獲得。13度の防衛に成功し、“絶対王者”と呼ばれる。’06年6月、腎臓がんが発覚するが、2007年12月、奇跡のプロレス復帰を果たす。’13年5月11日、引退。現在はチャリティーや講演会など、幅広い活動を続けている。Twitter:@FortuneKK0327 構成/尾崎ムギ子 撮影/橋本一美 取材協力/SUNDAY
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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■「2017 旗揚げ記念シリーズ 【最終戦】 ~秋山準&大森隆男デビュー25周年記念大会~

【開催日】2017年10月21日(土)
【開場時間】16時00分
【開始時間】17時00分
【会場】神奈川・横浜文化体育館

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