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なでしこジャパンの救世主・成宮唯「ブラジル戦の2ゴールはすべてがピタッとハマった感じです」

サッカー以外で何ができるんだろう?

 小学校を卒業した成宮は、父親の勧めもあり、JFAアカデミー福島を受験する。中高一貫教育の同校は、サッカーのエリート養成施設として知られている。その学園生活は、果たしてどんなものだったのか? 「勉強はですね……自分で言うのもアレですけど、たぶんバカ(笑)。ただ学校は結構厳しくて、文武両道っていうんですか? サッカーだけじゃなく、勉強もしっかりやれっていう方針だったんですよ。英会話とかにも力を入れていましたし。赤点なんて取った日には、とんでもなく怒られるわけです。だから、たまに考えるんですね。“私、サッカー以外に何ができるんだろう?”って。勉強もダメだし、スポーツもサッカー以外は全滅だし、楽器が弾けるとかの特技もないし」  成宮本人は謙遜気味にそう語るが、サッカー選手としてのキャリアは順風満帆そのものだった。2009年にU-15女子代表ナショナルトレーニングキャンプのメンバーに選ばれたことを皮切りに、11年にはAFC U-16女子選手権(中国・南京)に女子日本代表のキャプテンとして出場。5戦全勝で優勝を果たし、自らも大会最優秀選手に選ばれ、チームをFIFA U-17女子ワールドカップ出場に導く。また、12年にU-17メンバーとして招集された際は、なでしこジャパン主体のシニアチームとの練習試合で決勝ゴール。「世紀の大番狂わせ」と世間を騒然とさせる一幕もあった。そんな成宮の輝かしいキャリアに転機が訪れたのは、12年に行われたU-17女子ワールドカップ(アゼルバイジャン)でのことだった。 「人生で一番うれしい思いも、一番悔しい思いも、あそこで同時に味わった気がします。まず、うれしかったのはブラジル戦。やっぱりブラジルっていうのはサッカーをやっている人にとっては特別な国だし、そのブラジルと戦うっていうことで自分的にも最初からいつもと違ったテンションだったんですね。しかも、みんなが注目する大舞台ですし。そんな試合で2ゴールを決めることができた。今までで一番いいプレーができた。すべてがピタッとハマったんです。ちょっとしたテクニックなんですよ。フィジカルが強いブラジルを相手に、技を使うことで外すことができるというか……。ダブルタッチでパンパン2人を抜いて、シュートを決める。うん、あの2点目は気持ちよかったですね」  では、一番悔しかったという問題の試合は? 「同じ大会でのガーナ戦です。ダントツの優勝候補だって言われていたのに、ベスト8で終わっちゃった……。あのワールドカップ、予選では大差で勝っていたし、失点も抑えていたんです。メディアからも“最強のイレブン”とか持ち上げられていましたし。それで、どこか心に隙があったのかもしれない。私、キャプテンなのに本当に何もできなかったんです。やられるがままに、やられた。心底、悔しかったですね。情けなかった。試合が終わっても、落ち込んでいる周りの選手を励ますことすらできなかったですから」
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ロナウドよりもリバウド
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