「国産ワイン」と「日本ワイン」の違い、知ってる? ワインにまつわるグレーな表示
今日16日、いよいよ解禁したボジョレーヌーボー。近年家飲みの需要が高まっているワインも、購入時に知っておいたほうがよいポイントがある。
「フルボトル500円程度で『おいしい無添加国産ワイン』などの謳い文句で販売されているワインには2つのウソがあります」とは、ワイン雑誌『リアルワインガイド』編集長の徳丸真人氏。
「まず、『国産ワイン』と『日本ワイン』は似て非なるものです。国産ブドウ100%を使用して国内製造されたワインが『日本ワイン』、海外から輸入した濃縮ブドウ果汁やバルクワイン(150ℓ以上の大容器に入ったワイン)を使用して国内で製造されたワインが『国産ワイン』です。そして、この『国産ワイン』の原料となる濃縮ブドウ果汁やバルクワインは、そのほとんどが化学肥料や農薬まみれで育てられたブドウです。なお、濃縮ブドウ果汁は、水で薄めてから発酵させてワインに仕上げます」
そしてこうしたワインを「無添加」「酸化防止剤無添加」と謳って販売するのだという。
「この場合の無添加はあくまで『酸化防止剤無添加』という意味で、農薬や化学肥料を使っていないという意味ではありません。『酸化防止剤無添加』というのも日本での製造段階で酸化防止剤を添加していないという意味と考えられ、輸入前の段階で使用されていないことまでは保証していないんです」
農薬や化学肥料を使わない「自然派ワイン」なら安心だろうか?「フランスを中心に各地で造られている自然派ワインは各国に認証団体があり、例えばEU法では3年間以上ブドウ畑で農薬や化学肥料を使っていないことなどが認められると自然派有機ワインとして認証されます。ただ、農薬や化学肥料を使わずに品質を保つのは非常に難しい。ブドウ畑で農薬や化学肥料を使わない代わりにワインの醸造時に酸化防止剤を大なり小なり使用し、本来の自然派ワインの風味を落としてでも認証を取ろうとするメーカーもあるのです」
聞こえがいい表示に騙されてはいけないのだ。
<紛らわしい表示にはダマされるな>
●日本ワイン
国産ブドウ100%を使用して国内で製造されたワインを「日本ワイン」と呼ぶ。近年、勝沼を筆頭に国内のワイナリーも品質向上の努力を重ねているため「日本ワイン」はブランド力を強めている
●国産ワイン
海外から輸入したブドウ濃縮果汁やバルクワインを使用して国内で製造されたワイン。以前は「日本ワイン」の呼称で売られていたが、粗悪品も多く、日本ワインのブランドを毀損するために、’15年からは呼び方が区別された
●酸化防止剤無添加ワイン
酸化防止剤である亜硫酸塩を添加していない。酸化防止剤は体に悪いイメージが強いが、少量使う分には人体に害は全くなく、品質を保持するために必要不可欠。ただ、品質管理を簡略化するために大量使用すると味わいが落ちる
●自然派ワイン
化学肥料、農薬を3~4年間以上使用していない畑で栽培されたブドウで造られ、醸造時は極力亜硫酸塩(酸化防止となるが、使用量次第でワインの味をつかさどる微生物や酵母を殺してしまう)の使用を避け天然酵母で造ったワイン
取材・文/週刊SPA!編集部
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