更新日:2022年12月17日 23:22
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“ジャパニーズ・メタル”と“ジャパメタ”は別モノ!このジャパメタ臭に悶絶しろ!! ジャパメタ名盤5選

ダサくて、クサくて、バカにされてきた“ジャパメタ”

 略称が蔑称扱いされる現象は割と存在する。近年、インターネットで憲法改正や反日国家、反日メディアに対しての批判や苦言などの書き込みを行なう者を、「インターネット右翼」と規定し、“ネトウヨ”と略した蔑称が用いられることがある。  逆に、反日および左翼思想を持つ者に対して、その構成員の一人が挨拶に使っていた「ぱよぱよちーん」という言葉と組み合わせた造語“パヨク”という蔑称が用いられている。  “ネトウヨ”と“パヨク”、どちらも醜悪な差別用語であり、筆者はこれらを使用する者は一切信用しないし関わりたくない。左右対立の場においては、言葉の感覚が麻痺し、差別用語を用いるレイシストが一部に存在しており、これは非常に由々しき問題と言える。  80年代初頭、マンガやアニメを趣味とする一部の人々は、二人称として“お宅”と呼び合っていた。この二人称“おたく”は、当初の使用法から離れ、蔑称としてのラベリング用語となり、近年まで侮蔑的意味合いで使用されてきた。しかし、“オタク”を自称する者が増加し、オタクカルチャーの評価が上がったことで、“オタク”は差別に打ち勝つことができた。  筆者は、“ジャパニーズ・メタル”も好きだが、それ以上に“ジャパメタ”を好む。格好良くてリスペクトされているジャパニーズ・メタルではなく、ダサくて、クサくて、バカにされがちなジャパメタのほうを。“ヘビメタ”も“ジャパメタ”も、“オタク”の例を見習って、差別に打ち勝つことができないものだろうか……

「ウンコ扱い」上等!

 かつて洋楽メタラーの間では、「国産ミュージック」「女性ミュージシャン」は、「洋楽」「男性ミュージシャン」よりも格下とされ、また、「クサメロ」好きメタラーは嘲笑される存在だった。  しかし近年、日本の歴史や文化、そしてオタクカルチャーなどが、海外で高い評価を受けている。ヘヴィメタル・シーンにおいては、90年代後半頃から女性ミュージシャンが激増し、またデスメタルやブラックメタルなどでもクサメロが歓迎されるようになった。ヘヴィメタル界隈において、ここ20年で、「国」「性別」「音楽性」に対する価値観が、真逆に反転したのである。  であれば、長い間、“洋高邦低”意識でもって蔑視されてきた“ジャパメタ”に対する評価も、覆す必要があるのではないだろうか。そしてそれは、今後のジャパメタの海外進出、および世界のヘヴィメタル・シーンの未来を創るにあたって、最重要なことと信ずる。  というわけで、以下、“ジャパメタ”らしいアルバムを5枚選んでみた。選択にあたっては、洋楽メタラーおよび偏見や差別意識を持つレイシスト・メタラーから嫌悪されがちである(またはそのような経緯があった)ということと、“ジャパメタ”臭が強いことを重視した。以下のアルバムは、“洋高邦低”“男尊女卑”“クサメロ蔑視”などの差別意識によって、ウンコ扱いされるものだったかもしれないが、筆者は、名盤だったという評価を与えている。
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このジャパメタ臭に悶絶しろ! ジャパメタ名盤5選
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(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

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5月1日発売の拙著『ジャパメタの逆襲』では、他にも5枚追加し名盤10選を紹介しているので、気になる方はそちらでぜひ、チェックしていただきたい。

ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  だが、実はジャパニーズメタルは、長らく洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 本書は、メディアでは語られてこなかった暗黒の時代を振り返る、初のジャパメタ文化論である。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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