更新日:2022年12月30日 10:17
エンタメ

フジロックとサマソニの同時期に韓国でもロックフェス!?――韓国メタルシーンの今

日韓交流が盛んなヘヴィメタル・シーン

 2006年から韓国で始まった仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル(ペンタポート)という野外フェスティバルがある。同フェスは、韓国ほか、日本・欧州・米国出身アーティストを中心に呼び、毎年7月末~8月頭頃に開催されている。これは、1997年から始まった日本最大規模の野外フェス=フジロックフェスティバル(フジロック)と同じ時期で、また主要な出演アーティストも、そのほとんどがフジロックに出演している。つまりペンタポートは、フジロックと連動する形で開催されているのだ。  しかし2009年、ペンタポートは分裂し、新たにジサン・バレー・ロック・フェスティバルが立ち上げられた。両フェスは、翌年から開催日を1週間ずらし、共存共栄を図っている。ペンタポートのほうは、2000年から始まった日本の都市型ロック・フェス=サマーソニック(サマソニ)の開催日に近づいたことで、サマソニとの連動に比重を置くようになった。いずれにせよ、欧米アーティストにとって、遠く離れた極東アジアへの興業ルートの確立は、歓迎すべきことだろう。  日韓のロック・フェスおよび出演ミュージシャンは、音楽でもって交流しており、またロック・フェスに来場するファン層も一定数存在する。また、日韓のメタル・バンドおよびメタル・シーンも相互に交流している。ロック・シーンおよびメタル・シーンにおいては、この際、「反日」「嫌韓」ということは棚に上げて置きたい。文化を通じた彼らの交流に水を差すこともないだろう。筆者はむしろ尊重するスタンスである。

現在の韓国メタル・シーンはどうなっている?

 韓国メタルは、黎明期の頃は10年遅れていると言われてきた。しかし筆者が聴いた限りでは、遅れているのは5年程度ではないかと感じている。だがこれは過去の認識に過ぎず、現在のシーンの詳細は、筆者にはわからないというのが正直なところ。おそらく、音質やメタルとしてのクオリティは、それなりに向上しているのではないかと思われる。  今から10年ちょっと前、韓国縦断旅行をした際、ガイドさん(韓国人男性)、地方のスナックおばさんらと盛り上がり、場末のカラオケ屋に行った。そこには、当時はまだ日本のカラオケ屋にも入っていなかった(はず)JUDAS PRIESTの「Jawbreaker」(1984年発表のアルバム『DEFENDERS OF THE FAITH』収録)を発見し、歌わずにはいられなかった。あの瞬間だけは、韓国メタルの環境は、日本より先を行っていると感じたっけ……。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
1
2
3
ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  長らくジャパニーズメタルは、洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 国内では無視され、メタル・カーストでも最下層に押し込められてきた。メディアでは語られてこなかった暗黒の時代から現在の世界的ブームまでを論じる、初のジャパメタ文化論。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

おすすめ記事