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小学生でも容赦ない体罰…強豪少年サッカー部のブラックな記憶

―[ブラック部活]―
 まともに部活やりたきゃファーストプレイで相手QBを潰せ! 気に食わない選手は指導陣が一斉無視。トラブルが起きても監督優先、お前らなんか庇いません! そんな日大アメフト部のスペシャルなブラック具合に世間が湧いている……。  だが、ブラックなのはアメフト部だけではない。体育会系の部活に入っていた人であれば、似たような経験はだれもがもっているだろう。印刷会社に勤務し、月に2回はサッカーやフットサルを楽しむKさん(42歳)。サッカーキャリアは小学校3年生から。当時大流行していたキャプテン翼の影響を受けた友人に誘われ、なかば付き合いでサッカー部に入った。 「5年の時に退部し、高校生になるまでボールを蹴らなかったので、実際にはキャリアは短いんです」  母校の小学校のサッカー部は、市内屈指の強豪として知られていたそう。 「リフティングが100回以上できなかったり、フリーキックでボールがグラウンドをノーバン横断しなかったりだと入部不可。つまり、もともと運動能力の高い子しかいなかったんですよ。強いのは当たり前です。だというのに、顧問の男性教諭は一部PTAの間で神様扱いでした」 サッカー

体罰が日常だった強豪サッカー部の元部員が語る

 厳しい参加条件だが、無事に入部を許されたKさん。しかし、練習内容もひどいスパルタだったという。 「紅白戦中、DF陣のリーダー的なSくんがパスミスをしたんです。球威がなくてインターセプトされた(途中で相手に奪われた)だけなんですが、顧問は彼を大声で呼びつけました。そして、駆け寄ってきたところに思い切りボールを投げつけたんです。それも顔面に」  大の男がフルスイングで投げたサッカーボールは、カウンター気味に小学生男子の顔を直撃。一瞬のけぞったあと、すぐ気をつけの姿勢に戻ったSくんは、鼻血を垂らしていた。 「その後、顧問は手でシッシッとベンチ(立ち見)に下がるようアクション。流血のケアは副顧問の先生がしていました。当時は副顧問を優しい人だと思っていましたが、今考えたらそんなこと絶対にないですよね」  50人以上の小学生の目前で強烈な体罰。現代では許されないだろう。  紅白戦に出してもらえるレベルでなかったKさんは、ずっとピッチ外にいた。そして、たまたま顧問のそばに立っていたため、一連の出来事を詳細に見て、聞いていた。 「直後、顧問が副顧問に吐いたセリフを忘れられません。『あの貧乏ジャージ、泣かなかったなぁ』ですよ! ニヤニヤしながら。思い出すたび胸糞が悪くなります」  Sくんはいつも膝に継ぎはぎしたジャージを穿いていたのだ。 「裕福な家の子じゃないのはみんな感じていましたが、優しくて良い奴でしたから、誰も貧しさを指摘したり、からかったりしませんでした。それを大人が、しかも先生がやるってのはショック大きかったです。加えて、僕なんか母がワッペンしてくれたズボンを喜んで穿いていたのに、『ああ、これって貧乏ジャージっていうんだ……』と余計なことを知ってしまい、継ぎがあるものに抵抗が生まれちゃって」  しかし、KさんはSくんの事件を両親に言えなかった。 「Sくんをもっと辱める気がして。貧乏ジャージの件も明らかに母を傷つけますしね」 ボール
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“練習中に水を飲んではいけない”ルール
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