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小学生でも容赦ない体罰…強豪少年サッカー部のブラックな記憶

“練習中に水を飲んではいけない”ルールで倒れて…

 鼻血が出るほどの暴力はあまりなかったとはいえ、ビンタや足を払うように蹴る、上腕部に拳骨、罵声を浴びせるなどは日常的だった。Kさんにとって一番辛かったのは、昭和の体育会系の定番、“練習中に水を飲んではいけない”ルール。 「僕は動いていなくてもビチョビチョになる、ハードな汗かきなんです。毎日の練習なら2~3時間を乗り切れば良いのですが、問題は合宿。食事の時の一杯のみが水分補給のチャンスでは耐えられません」  案の定、小5の夏合宿の際に倒れてしまう。 「脱水症状を起こして高熱に。着いてきていた保護者がおんぶして麓の病院まで連れて行ってくれました」  この件でKさんの父親が激怒。部活をやめることとなってしまった。 「父が怒ったのはまず、水を飲ませないナンセンスさや救急車を呼ばなかったこと。今でいえば熱中症ですからね。大事な息子に何かあったらどうしてくれるんだと」  しかし、それ以上に父親を刺激したのが一部保護者からの要求。 「逆に『我が子が合宿中に倒れてすみませんでした』と、顧問に侘びを入れろと言ってきたんです。父は学校に殴り込む勢いで憤怒。なんとか母がなだめたが、『謝らないし、息子はサッカー部を抜ける!』で手打ちになりました」  一度やると言ったことはやり抜くよう教育されていたKさん。辞めたいと言い出せずいたところ、親の同意のもとに退部できる運びとなり、とても嬉しかったそう。 「ミス一つで殴られたり、怒鳴られたりするスポーツなんて全然面白くなかったですから。戦術も技術も知らない、ただのおっさんが偉そうにのさばっているだけ。高校でサッカー部に誘われるまで球蹴りなんて大嫌いでした」 ボール その後、そこそこの強豪ながらのびのびした環境の高校でサッカーをやり直すと、Kさんは以前より夢中になったという。 「県大会出場を果たしましたが、小学校時代のチームメイトとの再会はなく……。やっぱり、ほとんどの子がサッカーから離れてしまったようです」  たくさんのキッズをサッカー嫌いに育てた名顧問は、Kさん世代の数年後、体罰が問題になって転任となったそうだが……。 「ザマァ見ろ! と言いたいとこですが、最終的には県の教育委員長にまで登ったそうです。日大アメフト部の監督じゃないですが、教育界で上に行くには人間性って関係ないんですね(苦笑)」<取材・文/金井幸男> ― 「ブラック部活」特集 ―
―[ブラック部活]―
編集プロダクション勤務を経て、2002年にフリーランスとして独立。GETON!(学習研究社)、ストリートJACK(KK ベストセラーズ)、スマート(宝島社)、411、GOOUT、THE DAY(すべて三栄書房)など、ファッション誌を中心に活動する。また、紙媒体だけでなくOCEANSウェブやDiyer(s)をはじめとするWEBマガジンも担当。その他、ペットや美容、グルメ、スポーツ、カルチャーといった多ジャンルに携わり、メディア問わず寄稿している。
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