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20年以上待ち続けているニューアルバム以上に出してほしい! X JAPANのインディーズ時代の初期楽曲ベスト盤

レコーディングはX-HIROSHIMAでもいい

 しかし実際のところ、レコーディングは難しいと思われる。そこで提案がある。インディーズ時代のXのカヴァーを専門とするライヴ・バンドのX-HIROSHIMAにレコーディングしてもらうというのはいかがだろうか。制作にあたって参考とするのは1stアルバム『Vanishing Vision』。完成した暁には、筆者は10枚買います(笑)。  上記のインディーズ時代の楽曲に、YOSHIKIの本質が詰まっているように感じる。また海外メタラーにとっても、初期楽曲こそが、「YOSHIKI即ちX」の原型が伝わりやすいのではないか。

俺たちクサメタラーにはXしかなかった

 海外メタル・シーンでは、80年代末からジャーマン・メタルが盛り上がり、90年代後半には、メロスピが勃興した時代だ。その頃、日本のクサメタラーは、X以上のバンドや「紅」や「X」のような美しいメロディとスピードが同居する楽曲を探した。  だが、Xの楽曲に匹敵する洋楽メタル曲は存在したが、X以上のメロディとスピードが同居するバンドは存在しなかった。それは当然のことで、日本人には日本のメロディが体に染み付いている。海外のバンドでは代用が効かないのである。筆者含む日本のメロスパー、クサメタラーの多くが、その事実を知り、Xが日本に存在した奇跡を痛感し、感謝したのだった。  筆者は若い頃、センズリを覚えたての猿のようにジャーマンメタル・バンドHELLOWEENを聴きまくった。しかし、HELLOWEENは聴けば聴くほどメロディの質が、日本的なもの、歌謡曲とは違うことを感じた。日本人の感性に良く合うStratovariusというフィンランドのメタル・バンドがある。彼らの楽曲「Eagleheart」と、SMAP「世界に一つだけの花」のメロディが似ているのだ。どちらも2002年発表で、当時メタラー間ではパクリ疑惑もささやかれたほどだ。しかし、彼らでもまだまだ弱いのだ……。結局、俺たちクサメタラーにはXしかなかったのである。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
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ジャパメタの逆襲

LOUDNESS、X JAPAN、BABYMETAL、アニメソング……今や世界が熱狂するジャパニーズメタル! !  長らくジャパニーズメタルは、洋楽よりも「劣る」ものと見られていた。 国内では無視され、メタル・カーストでも最下層に押し込められてきた。メディアでは語られてこなかった暗黒の時代から現在の世界的ブームまでを論じる、初のジャパメタ文化論。★ジャパメタのレジェンド=影山ヒロノブ氏(アニソンシンガー)の特別インタビューを掲載!

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