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なぜ消費増税が悪なのか。10%への増税、来年10月から地獄が始まる<倉山満>

― 連載「倉山満の言論ストロングスタイル」―

安倍晋三

5月28日、経済財政諮問会議であいさつをする安倍晋三首相。安倍氏は、自らの首を絞めることになる消費増税についてどう思っているのだろうか……?(写真/時事通信社)

なぜ、消費増税が悪なのか。日本経済のみならず、日本を破壊するからである


 凄惨な光景だった。’13年10月1日、安倍晋三首相は消費増税8%を発表した。

 時の財務事務次官木下康司の号令一下、政官財界のみならず労働界やマスコミまでが、安倍首相に8%増税を迫った。その圧力に安倍首相は、屈した。

 デフレ脱却前の消費増税など、自らの生命線であるアベノミクスを腰折れさせるに決まっている。

 実際に施行された’14年4月1日以降、日本経済は落ち込み、10月に日銀が追加緩和を行って事なきを得たが、いまだに後遺症に苦しめられている。

 そしてまた来年’19年10月1日、再び悪夢が近づいている。今度は10%への増税だ。これまでは緩やかながら景気回復を続けてきたが、それも来年9月で終わり、10月からは地獄が始まるのだ。既に財務省の準備は終わり、軽減税率の書類を目にする向きも多いだろう。

 なぜ、消費増税が悪なのか。日本経済を破壊するのみならず、日本を破壊するからである。

 デフレに対する、金融緩和を中核とするアベノミクスの効果は、本連載でも再三再四説いてきた。デフレとは、通貨が希少品である状態だ。つまり、日本人が汗水流して働いた結晶である商品は溢れているのに、しょせんは紙切れにすぎない通貨が足りない状態だ。ならば、お札を刷ればいい。これが金融緩和だ。

 さらにもう一つ。アベノミクスでは、インフレターゲット(インタゲ)を導入し、経済成長率を2%まで引き上げるとの目標を掲げた。失われた20年と呼ばれたデフレ状態では、成長率は1~-1%に見事に収まっていた。それを、健全な成長率にまで引き上げるとの目標を掲げる、これがインタゲである。

 インタゲの意味は、「景気が回復するまでお札を刷り続ける」とのメッセージを市場に送ることにある。仮に日銀がお札を刷っても、一時的ならば消費者はお金を使わないで貯金する。市場にお金は出回らないし、景気は回復しない。しかし、インタゲにより具体的数字を挙げ、「2%の経済成長率を達成し、景気が回復するまでお札を刷り続ける」とのメッセージを送ると、消費者は安心してお金を使える。だから経済が回る。今の安倍内閣も、これをやって最初の半年は見事に景気を回復軌道に乗せた。しかも、爆上げだった。

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