ライフ

転職で年収が100万円ダウン…事故物件に住んで家計圧縮する貧困男性

相場より安い事故物件を交渉してさらに値切った

「その物件はいわゆる事故物件でした。前の住人が亡くなった場合、家賃が相場より2~3割安くなると聞いたことがあり、『事故物件で構わないのでありませんか?』と尋ねたんです」 部屋 見つかった物件は、前の住人だった中年男性が病死し、死後しばらく経ってから「異臭がする」との近隣住民からの苦情で、室内から腐乱した遺体が発見されたとか。ただし、臭いなどを取り除く特殊な清掃が行われ、床や壁紙も張り替えられてリフォーム済み。内覧後にすぐ契約を済ませたそうだ。 「外観はともかく、室内は新築同然の状態でしたし、何も知らなければ事故物件だと気づきもしなかったと思います。しかし、若干予算オーバーだったので、不動産屋の方に『もう少し安くなりませんか?』とお願いしてみたんです。すると、その場で大家さんと電話で交渉してくれて月4万8000円の値引きに成功。ダメ元でしたが言ってみて正解だったと思います(笑)」 盛り塩 ちなみに黒瀬さん自身は、幽霊を信じていないそうだが、部屋の隅には盛り塩をした小皿を置いている。 「個人情報の関係で詳しく教えてはくれませんでしたが、前に住んでいた方はリストラされた中年フリーターの方で、家賃の滞納もあったそうです。私は一応正社員ですが収入は低いし、福利厚生も手厚いとは言い難く、他人事ではありません。この方のおかげで安く済むことができたわけですし、一応最低限の供養くらいはしておこうかなって」

生活は安定するも収入は一向に増えず

 大きな負担となっていた食費も根本的に見直し、職場には弁当を持っていくようにしたそうだ。 「毎日ではないですが、週2~3日は弁当です。外食もなるべく控え、最近はスーパーのお惣菜も半額シールが貼っていないものは絶対に買わなくなりましたね」  今では月1万円の貯金ができるようになったが、格安の事故物件暮らしのうえに成り立っているといっても過言ではない。 「実は、会社の経営状態が芳しくなく、転職して2年になりますが収入はほとんど増えていません。彼女の収入よりも安いため、年収300万円のままでは結婚に踏み切ることもできません。イベントの仕事がやりたくて今の会社に転職しましたが、見切りをつけて雇用情勢のいいうちに転職すべきか正直迷っています」  前の住人のようにリストラされた挙句、孤独死なんてことにならないことを祈るばかりだ。<TEXT/トシタカマサ> 【黒瀬さんの1か月の収支】 月収(手取り) 20万円 家賃 4万8000円 食費 4万円 水道光熱費 7000円 通信費 5000円 イベントチケット代 3万円 その他雑費 2万円 ローン・借金 1万5000円 こづかい 2万5000円 収支 +1万円
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
1
2
おすすめ記事