格安スマホのデメリットは?安さだけで乗り換えるのは危険
ITジャーナリストの久原健司です。
最近、携帯電話の料金引き下げについて話題になることが多いですね。現在3大キャリアでは2~3ギガの通信料として月4000円程度かかり、値段の高さに不満を感じている人も多いかと思います。しかし、格安スマホの場合は1500円程度でサービス提供されているところもあり、近年大手キャリアから乗り換えるユーザーが多くなっています。
ではこの格安スマホ、一体どのような仕組みで料金を引き下げているのでしょうか?詳しい人には「今さら」ですが、実は知らない人が意外といる“格安なワケ”を解説しましょう。
一般に「格安スマホ」と呼ばれる中には、
①MVMO(IIJmio、楽天モバイル、LINEモバイル、mineoなどなど)
②大手キャリアグループのサブブランド(ソフトバンク系のY!mobile、au系のUQ mobileの2つ)
という2種類があります。
まず、格安スマホのほとんどを占める①MVMOについて。
MVMO(Mobile Virtual Network Operator)とは、「他社の携帯電話回線の一部を借りて、リーズナブルな料金で提供する業者」を指します。
なぜ他社の携帯電話回線の一部を借りると安くなるかというと、経営にかかるコストの少なさが影響しています。MVMOは自分で通信回線を持たないので、アンテナや基地局を作るなど膨大なコストがかかりません。また店舗も、3大キャリアと比べると非常に少ない(または、ない)ので店舗費用や人件費が大幅に圧縮されます。その分利用料金が安いわけです。
さらに、端末価格も安いものが多く、その点も月々の支払い額が安くなる理由です。高性能のものでも5万円程度で購入でき、1万円や2万円の端末も数多くあります。しかし安いなりに弊害もあり、3大キャリアであればある程度されている初期設定が、格安スマホは自身で行わなければいけないケースもあります。
安さに惹かれて格安スマホに乗り換えた利用者の中で最もクレームが多いのが、「通信速度が遅い」ことです。なぜ3大キャリアの回線を借りているのに通信速度が遅いのか? 実は、借りている回線の本数をギリギリに抑えているからなのです。
道路と車の関係に例えると、3大キャリアは道路が10車線あるのに対して、MVMOは2車線しかないという状況です。もし同じ数のユーザーが通信した場合、どちらが渋滞せずにスムーズに進むかは一目瞭然ですよね。
だったら、もっと回線を借りればいいのでは?と思いますよね。しかし、3大キャリアから借りる回線の接続料が非常に高く、増やせば増やすほど、結果的にユーザーの料金に響いてくるのです。先日も、格安スマホの会社が総務省に携帯大手に支払う接続料の値下げを要望したと話題になっていました。(総務省「接続料の算定に関する研究会」第二次報告書より)。
この接続料問題が解決すると、「通信速度が遅い」というデメリットが解消される可能性が高いですね。
一方で、②大手キャリアグループのサブブランドはどうでしょうか?
Y!mobileは自前の通信回線とソフトバンクの回線を使用。UQ mobileはauの回線を借りているので一種のMVMOですが、グループ会社だから有利に借りているのでは?と総務省にやり玉に挙げられたこともあります。
<※編集部補足:結局、格安スマホは3大キャリアと比べてどのぐらい遅いのか。速度は時間帯や送信・受信によっても違うが、様々なメディア・機関の速度調査で平均値を見たところ…
・UQ mobile、Y!mobileは、キャリアより1割ほど遅い。キャリアより速い時間帯も。
・その他の格安スマホ(MVMO)は、キャリアの半分~3分の1ほどの速度
という傾向だった>
格安スマホはなぜ安い?
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Y!mobile、UQ mobileは速いのか?
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1978年生まれ。ITの人材派遣会社やソフトウェア開発会社を経て、2007年に株式会社プロイノベーションを設立。現在は、一般社団法人日本情報技術振興協会(JAPRO)認定講師として企業研修を行ったり、日本一背の高いITジャーナリストとしてwebメディアでも活躍している。
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