更新日:2019年01月08日 18:35
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「アルファードのほうがよっぽどクラウンらしさを感じる」クラウン好きによる新型クラウン評

余計なものが減った新型クラウン

 これまで、クラウンには様々な面白い装備が目立ちましたが、新型はかなり簡素化されたという印象です。    特に8代目クラウンの時代までは、世界中探しても同じクルマが見つからないほど、クラウンには様々な面白い装備があったといえます。例えば8代目には、既にタッチパネルのナビが設定されていましたし、シートのメモリ機能もありました。  シートのメモリ機能といえば、今ではベンツを始めとした輸入車の高級アイテムとしておなじみですが、この機能は1983年に登場した7代目の時代から、既にクラウンにはあったのです。

シートスイッチ 左上:8代目 右上:11代目 左下:12代目 右下:新型

 そのような機能は当時、自動車に詳しい人からは「余計なもの」と言われ、ヨーロッパ車の簡素さを見習ったほうが良いなどといわれていました。しかし、今となってはヨーロッパ車のほうが余計な仕掛けが多々ある一方、新型クラウンは逆にシンプルになった印象です。  特に後席の「余計なもの」は簡素化され、フロントシートバックの取っ手や後席用リモコンなどは、ショーファー用途が想定される一部にグレード以外には見られないようになりました。  こういったアイテムは、ゼロクラウンの時代までは多くのグレードに標準装備されていました。同じ時代において、クラウンより上級だったセルシオでも、それらアイテムはショーファー用途の「Fパッケージ」にしか存在しなかったのが、クラウンには標準で付いていたのです。  

7代目クラウン(1983年発売)のシートの機能(カタログから抜粋)

 こうした「余計なもの」は、クラウンにおいて13代目以降、モデルチェンジを重ねるごとに排除されていきました。そして新型においては、かろうじて残っている「余計なもの」は、7代目から続く“エアコン吹出口のスイング機能”ぐらいとなってしまっています。

クラウン好きの結論は……

 新型クラウンを歴代クラウンと比較した結果、私が感じたのは「このクルマはよくできているけれど、これを選ぶ理由はどこにあるのだろうか」という疑問です。新型クラウンは、走りがとても良くなり、まるでヨーロッパ車のようになりました。けれども、そうすると、本物のヨーロッパ車を買うほうが良いのではということになります。

リアのクラウンエンブレム 左上:8代目 右上:11代目 左下:12代目 右下:新型

 もちろん新型クラウンは、クルマとしては大変良くできたクルマだと思います。しかし、クラウンが持っていた伝統をまったく活かせてないのがとても残念なのです。  新型クラウンよりも、アルファードのほうがよっぽどクラウンの後継車だと感じます。アルファードには、面白い装備が多々搭載されており、世界中探しても似たクルマが見つからないとほどの個性が詰まっています。日本で人気があるのはもちろん、タイなどでも最高級車として、ポルシェとともに自慢の対象になっている姿を目にします。

グレードエンブレム 左上:8代目 右上:11代目 左下:12代目 右下:新型

 そういった意味では、今回の新型クラウンは「クラウン」ではなく、「マークX」の新型だといわれれば、クラウン好きとしては、すべてが納得できたと感じました。クーペルックで後席がちょっと狭いのも、内装の高級感がちょっと低くても、マークXだったならば、たとえ400万円ぐらいの価格帯だったとしても、「さすがトヨタ」と思ったことでしょう。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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