クラウン好きの腕時計投資家、斉藤由貴生です。
私は小学生のときからクラウンが好きで、実際今でもクラウンに乗っています(ベンツも所有)。しかし、そんなクラウン好きに衝撃的なニュースが飛び込んできました。
斉藤由貴生
それは「現行でクラウンはセダンが終了し、次期型からSUVになる」というニュースです。
これは公式発表ではないため、本当のところはどうなるのかわかりません。しかし、ある程度話題になるということは、「そうなる可能性があるかもしれない」とそれなりに思ってもいいのでしょう。
クラウンをSUV化するメリットとデメリット
「クルマはセダンよりもSUVが人気」という現在の流行を見る限り、「クラウンのSUV化」は理屈としては正しいと言えます。一部報道によれば、「セダンプラス」という新カテゴリーで販売されるとのことです。
実際これまでのクラウンは、「挑戦の歴史」だったと言われているため、「セダンプラス」という新たなカテゴリーを開拓するのはクラウン的に正しいと言えるのかもしれません。
現行モデルが最後のセダンタイプになってしまうのか?
しかし、セダンのクラウン好きとしては、セダンプラス含め「クラウンのSUV化」は短期的な利益にしか貢献しなさそうだなと思ってます。クラウンには「日本車のセダン」という重要なブランドがあるわけで、SUV化することによって、この重要なブランドを失う可能性があるわけです。これはどう考えても大きな不利益だと思うのです。
日本人にとって身近なクラウンですが、実は世界全体で見ても「すごいブランド」なのです。
なぜならクラウンは、「ずっと続いている高級セダン」だからです。これは世界的にも稀です。具体的に「ずっと続いている高級セダン」は以下のようになります。
8代目、11代目、12代目、現行型クラウンを並べて比較したときの様子
メルセデスベンツSクラス(1951年~)
「Sクラス」という名称はW116からだが、1951年のタイプ220からから事実上のSクラスとされている。
トヨタクラウン(1955年~)
1955年の初代から、ずっと日本の高級車として愛され続けている。
ロールスロイス
先祖をたどれば、戦前のシルヴァーゴーストまで行き着く。
BMW 7シリーズ(1952年もしくは1977年~)
7シリーズは1977年登場だが、それ以前にも高級車が存在。E3、その前の501が先祖と言える。ただし、途中空白期間がある。また7というエンブレムが付いたのは1977年から。空白期間や7という名称を考慮すると1977年からと言えるが、501を元祖とするならば1952年からと言えるだろう。
このように、「ずっと続いている」という観点では、世界的にも“数えるぐらい”しかないわけです。
例えば、アウディは現在「ベンツやBMWのライバル」とされていますが、そのようなポジションになったのはフェルディナンド・ピエヒ氏が大改革を行った後のこと。アウディV8登場以前の上級モデルは、ホルヒ時代にまで遡る必要があり、大きな空白期間があるのです。
アウディのフラッグシップセダンA8
近年「ジェネシス」という高級ブランドを展開する韓国のヒュンダイに至っては、歴史を追ってしまうと、「長らく三菱自動車の事実上のOEM生産だった」という黒歴史になります。
ですから、クラウンは「ずっと続いている高級セダン」として、世界的に見ても稀有な存在であるわけで、Sクラスに対抗できる稀なブランドであるのです。Sクラスのカタログを見ると、最初のページに歴代モデルが載っていますが、これと同じことをできるのはクラウンぐらいしかありません。
次期クラウンをSUVにしてしまったならば、このようなことはできなくなるでしょう。そもそもいくら名前が同じでも、それはもはやクラウンとユーザーに認識されないと思うのです。