更新日:2019年10月04日 16:01
仕事

かっこ悪い営業マンが教えてくれた「恥をかくことの大切さ」

歌もダンスも下手だったAくんが心をつかむワケ

カラオケ ところがある日、いつものように接待できた営業系のお客様のAくんは、歌はとても下手でダンスも変で田舎くさく、とてもカッコ悪かったのです。でも、下手な歌を自信満々に歌う姿にびっくりしました。  方言を丸出しにして、変なダンスを繰り返していると、接待をされているお客様に「おい! 下手くそ!」と言われてとうとうカラオケを演奏中止にされてしまいました。  そうするとAくんは演奏中止したお客様のところにスタスタと行って隣に座ると、抱きついてチューしたのです。男が男に抱きついてチューするのを初めて見た私は、度肝を抜かれました。それから、Aくんはそのお客様とデュエットすることを思いつき、今度はお客様と一緒に歌いはじめました。  Aくんの歌があまりにも下手なので、お客様は優越感に浸り、2人で最後まで熱唱してしまいました。  その後からグループは完全にAくん主導の空気となりました。歌は下手でダンスも下手だったけどヤジを飛ばされながらも、最後の最後までひたむきに恥をかきつづけていました。  結局、グループの中で一番インパクトが強かったのは彼で、最後はお客様に「おまえっていいヤツだなぁ~」と言われながら確実に心を掴んで帰っていきました。

営業の仕事は「自分のことを信用してもらう」こと

 私は唖然としました。こんな「逆張り」あるんだと思いました。ただ考えてみれば、営業の仕事とは、お客様に気に入ってもらって覚えてもらって、自分のことを信用してもらって、自分から商品を買ってもらうことなのです。  別に、歌手ではないのだから歌がうまい必要もないし、ダンサーでもないのだからダンスがうまい必要もないし、弁論大会でもないわけだから話がうまい必要もなかったのです。  それなのに、何事も能力がないからできない、能力がないんだからどうせ努力したってできっこない、と全てのことに引っ込み思案だった私は、一体、今まで何をしていたんだろうと本当に情けない気持ちになりました。  たしかに、ブサイクな異性よりはかわいい異性の方がテンションが上がるだろうし、パフォーマンスも、下手くそよりはうまい方が見ていて楽しいだろうし、しゃべり下手よりは会話上手な方が話していて楽しいとは思います。  でも本当に人の心を掴むのは、そういう技術的なことではなくて「意味不明に自信満々」とか「絶対ここでなんとかしてやろうという気概」とか「最後までやり遂げるひたむきさ」なのだと思います。  そういう目に見えないエネルギーを感じて、はじめて人の心は動くのだと思います。
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いつまでも恥をかくという気持ちを心に
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新宿歌舞伎町キャバクラ「アップスグループ」オーナー。株式会社アップス代表取締役社長。津田塾大学卒業。25歳のとき、当時勤めていた外資系IT企業をやめて、歌舞伎町にキャバクラを開業。現在、歌舞伎町にキャバクラを4店舗、銀座にクラブを2店舗展開するまでに。キャバ嬢の育成やキャバクラの立ち上げ、経営改善のコンサルティングなども行い、グループ年商は10億円にもおよぶ。著書『劣等感を力に変える 成り上がる女の法則』が発売中

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