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中流サラリーマンが“貧困老人”に…お金だけではない孤独問題

「真面目に働いていたはずなのに、悲惨な老後が待っていた」。これが今の日本の現実なのだろうか。普通の勤め人として中流以上の生活を送ってきたのに、彼らはなぜ生活苦に陥ったのか? サラリーマン

真面目なサラリーマンが“貧困老人”になる時代

 多数の「貧困老人」を取材すると、彼らは最初から下流生活だったとは限らず、むしろ普通に働いてきた人たちばかりであることが生々しかった。生涯独身、あるいは離婚したという人が多く、日常生活における孤独も際立っていた。  老後に向けた貯蓄をせず、年金に頼るつもりが、年金だけではまったく足りないと知ったのは自身が老いてからだったという。  現在、貧困にあえぐ高齢者に、1964年の東京オリンピックの好景気時に上京した人が多かったことを思えば、2020年以降に同様の状況が生じることが懸念される。  さらに、NPO法人「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典氏は「団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年前後に、生活保護受給者が一気に増加するのではないかという『2025年問題』もあります」と指摘する。

750万人が“独居老人”に…孤独という大問題

 2025年には、「世帯主が65歳以上」の高齢者世帯が2103万世帯となり、これは全世帯の38.9%に上る。さらに、高齢者世帯のうち676万世帯が「夫婦のみ」、751万世帯が「単独世帯」。つまり751万人が“独居老人”になることが予測されている(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計-2019年推計-」)。  あなたは、一人暮らしの高齢者になっても、孤独に陥らない準備をしているだろうか? 「高齢者には『キョウイク』と『キョウヨウ』がない」といわれる。「今日行くところ」「今日の用事」がないという意味だ。 シニア 社会福祉士として高齢者問題に取り組んでいる松友了氏(社会支援ネット・早稲田すぱいく理事)が語る。 「社会的義務や組織にはめこまれていた人が引退してそこから放たれると、やることがなくなります。そして、よかれと思ってしたことが『高齢者クレーマー』や『老害』と叩かれてしまうこともある。社会から必要とされないことがつらいのです」  貧困高齢者たちは居場所を求めて彷徨(さまよ)っている。これは、年金や生活保護だけで解決できる問題ではない。老後に向けた自身の「準備」が大事なのだ。  これまでSPA!が取材した貧困高齢者たちは、総じて無気力だった。貧困ゆえの無気力なのか、無気力ゆえの貧困なのかはおくにせよ、人生に夢や希望はとうてい抱けないようだった。「老後の楽しみ」という言葉が、これほど虚しく感じられることはない。  こうした辛い老後が、誰にでも訪れうる時代であることは心に刻んでおきたい。 ― [貧困老人]絶望の現実 ― 取材・文/薮中功 片山恵悟
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