仕事

ただ単に褒めればいいわけではない。聞く側も注意が必要

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第110回 勉強 人間は他人の言葉にとても敏感です。たとえば、子供のころに「そろそろ宿題をやろうかな」と思っていたら、親に「宿題はやったの?」と聞かれて、一気にやる気を奪われてしまった経験は誰にでもあると思います。 「宿題をやったの?」という問いかけには、「宿題をやっていないのではないか」という疑いのニュアンスが含まれています。「だからそう言われた子供はやる気を失ったのだ」と考えることもできます。しかし、人は好意的な褒め言葉によっても、やる気を失うことがあります。  ある男性は普段から「部屋を綺麗に保とう」と考えていました。それがあるとき、周りの人から「ちゃんとしてそう」と言われる機会が重なりました。すると、そう言われたことを意識して、必要以上に掃除を頑張るようになり、その頑張りすぎの反動で、かえって生活が乱れてしまったそうです。  作家の村上春樹は自身のエッセイで、「世の中で何がいちばん人を深く損なうかというと、それは見当違いな褒め方をされることだ」と言及し、他人に褒められることで本来の自分を見失う危険性を指摘しています。  一般的には人に褒められると、一層頑張れるようになると考えられています。いわゆる「褒めて伸ばす」です。しかし実際はそこまで単純ではありません。不意打ちの褒め言葉はやる気を奪うわけではないものの、やる気を乱します。とはいえ、「こっちの心情を把握した上で褒めろ」というのも相手に求めすぎです。そのため「話をする側」ではなく、「話を聞く側」の心構えが大切になってきます。
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「最近どうも本調子じゃない」と感じたとき
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