79歳で通勤5時間の仕事を続ける人も…派遣会社「高齢社」が盛況
70歳定年制や、年金受給の開始年齢の繰り下げが議論される昨今。定年退職者の再就職も一般化し、シニア世代の転職市場も活性化してきている。そんな中で、シニア世代に特化した人材派遣業にいち早く取り組んできたのが、東京の外神田に本社を構える株式会社高齢社だ。多くのシニア求人を取り扱う同社に、「老いてなお働くこと」の意義を聞いた。
2000年に創業した高齢社は、現在1125人の登録スタッフを抱え、その平均年齢は70.3歳。本社スタッフの平均年齢も63歳という、シニアのシニアによるシニアのための人材派遣会社だ。
創業者の上田研二氏と、現在の代表取締役社長の緒形憲氏は東京ガスの出身。現在の派遣先も東京ガス関連の業務が65%を超えているという。創業の背景は?
「創業者の上田さんは、ガス器具の取付けを行う東京ガスの関連会社の社長でしたが、なかなか人材が集まらない状況でした。一方で周囲の定年退職者には、ガス関連の優れた技能を持ちながらも、日々の生活で暇を持て余し気味だったり、奥様と過ごす家で居場所がないと感じていたりする方もいた。そうした背景から立ち上げた会社なんです」(緒形氏)
同社の派遣業務は、一つのフルタイムの仕事を2~3人でワークシェアすることが原則で、出勤は週に2~3日程度が普通。仕事内容にもよるが、月収は8~10万円程度を見込めるそうだ。
同社で10年ほど働く紺野英彦氏(79歳)は高齢者の登録スタッフの1人で、現在は週に3日ほど出勤中。「カミさんと毎日ずっと過ごすのが辛いんですよ(笑)。それが定年後に仕事を始めた第一の理由でした」と冗談を飛ばして笑うが、仕事を続けることには生活上の様々なメリットがあるそうだ。
「やっぱり働くことは、心身の健康にいいんですよね。危険物である天然ガスを取り扱う仕事をしているので、仕事には常に緊張感がありますし、責任もあります。それで仕事が終わると、心と体がパーッと開放される。現役の時の花の金曜日の感覚が戻ってくるんです」(紺野氏)
スタッフ平均年齢が70.3歳の人材派遣会社
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