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オンラインサロンは新格差社会を象徴する闇…古谷経衡×吉川ばんび

人生の難易度はその人の生育環境に左右される

吉川:当事者は問題を客観視できず、支援者が手を差し伸べても自力で解決しようとしてしまう。貧困が3世代続くと断ち切ることはできないともいわれています。 古谷:まさに、負の連鎖ですね。 吉川:こうした家庭で育ってしまったら、教育もロクに受けられず自分でものを考える習慣なんてとてもじゃないけど身につきません。よく思うんですが、人生の難易度って生育環境によって大きく変わるんじゃないかって。これは自己責任論だけで済ませてはいけない問題だと思うんです。かくいう私も貧困家庭の出身で、長い間、家族からの暴力にさいなまれてきました。数年前までは、生きるのもしんどいけど死ぬ勇気もない。カップ麺を食べて、テレビを観るという日々を送っていましたから。 古谷:ばんびさんはなぜそのような状況から脱せたのでしょう? 吉川:私の生活環境を見て「それっておかしくない?」と指摘してくれた人がいたことが大きかったですね。 古谷:目が覚めて、自分のいる世界を疑ったんですね。僕が考えるに、“持たざる者の唯一の対抗手段”は、知的武装して教養を身につけること。幸い、日本は再販制度のおかげで欧米に比べて出版物が豊富で安価です。雑誌は業界誌まで入れれば数千種類あるし、新書はだいたい1000円以下で手に入る。図書館は無料です。貧困者は動画サイトなんて見てないで、文字から必要な知識や知恵をどんどん吸収していくべき。 吉川:私は誰かときちんと議論する習慣をつくることが大切だと痛感しています。社会問題について何か発言すると、すぐパヨクだ、フェミだ、ネトウヨだとレッテルを貼られて終わりじゃないですか。これってただの思考停止だと思う。そうではなくて、「私はこう思うけど、あなたはどう考える?」とフラットに議論できる空気をまずは醸成していきたい。自分で考えられない人間になったら、搾取される人生しか待っていないと思いますね。 【吉川ばんび】 兵庫県出身。フリーライター。貧困や生きづらさをテーマに執筆。鋭い筆致で注目を集める。「文春オンライン」などでコラムを連載。ツイッターは@bambi_yoshikawa 【古谷経衡】 ’82年、札幌市生まれ。日本ペンクラブ正会員のほか、ラジオ・TVなどでもコメンテーターとして活動。『意識高い系の研究』(文藝春秋)など著書多数。ツイッターは@aniotahosyu 取材・文/アケミン 高島昌俊 仲田舞衣 櫻井一樹 浜田盛太郎(本誌) 撮影/ヤナガワゴーッ! 笠井浩司
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