更新日:2023年05月07日 13:52
エンタメ

和牛、ミキ、「M-1」準決勝でなぜ彼らは敗れたのか? アインシュタイン、トム・ブラウンも…

結成7年目にして高い期待値を背負わされた「ミキ」

 10月18日。「M-1グランプリ」2回戦のMCを担当した。前年度、準決勝に進出したコンビは1回戦がシードされ、2回戦から登場する。この日登場したのが、「ミキ」だった。その日の「ミキ」の漫才を例えると、ウサイン・ボルトが100m予選に登場し、横を見ながら流し気味に1位でゴールテープを切り、それでもタイムを見たら9秒台。そんな印象だった。まだ調整段階に見えたが、周りと比べたらぶっちぎりの1位で、ポテンシャルの違いをまざまざと見せつけた。しかし、「ミキ」は準決勝で敗退した。  2016年は準決勝敗退、敗者復活戦で2位だった「ミキ」は、その後2年連続で決勝進出している。そんな「ミキ」だが、実はまだ結成7年なのである。今年の決勝進出メンバーで彼らより結成年数が低いコンビを上げると決勝初進出の「からし蓮根」(結成6年)と「オズワルド」(結成5年)の2組のみ。実際「ミキ」はまだまだ若手の「お笑い第7世代」なのだ。  しかし、「ミキ」は実力があるばかりに早々結果を出していき、今では「決勝常連メンバー」として「和牛」(結成13年)や「かまいたち」(結成15年)と同格に扱われ、「M-1グランプリ」を引っ張るコンビになってしまった。これが幸か不幸かはわからないが、「ミキ」に対する期待値は結成年数に比べて高い。  準決勝のネタも“いつもの「ミキ」”だった。誰も傷つけない楽しい漫才を披露した。ただ悪い見方をすると“いつもの「ミキ」”なのだ。安定の「ミキ」なのだ。結成7年とは思えないテクニカルな部分で笑いを作っていく。それを見て「結成7年にもかかわらず、すごいテクニックだ」と思ってもいいはずだ。だが、「決勝常連メンバー」の「ミキ」に対して審査員はもうそんなことは思わないのかもしれない。逆に「テクニックの笑いに走りすぎ」と思われたのかもしれない。
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「笑いの上積み」が求められた「トム・ブラウン」
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1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子

芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)

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