「女系天皇も考慮すべき」は皇室の重みを知らぬ者の言である/倉山満
では、聞く。先例を守れないなら、何をやっても良いのか?
女帝や女性宮と民間人が結婚し、その子が天皇になっても良いのが女系論だ。ならば、中国共産党の幹部の息子が内親王殿下の婿となり、その子が天皇となっても良いのか? それが不可だと言うなら、不可とする原理は何か?
かつて、弓削道鏡や足利義満のように、皇位簒奪に肉薄した逆臣もいた。もし女系天皇が許されるなら、道鏡や義満は女帝や内親王と結婚し、その子を天皇に据えるだけで良かったではないか。ところが、できなかった。先例の壁があったからだ。道鏡や義満を防いだ壁だ。
朝廷において、新儀は不吉。皇室は吉例を積み重ねることによって、守られてきた。皇位継承において一度も途切れることなく守られてきた男系継承の先例は、絶対の掟なのだ。
歴史において、多くの王朝が断絶の憂き目を見た。世界で唯一、日本だけが皇室を守り抜いてきた。先例を守り通してきた。後継者がいないから女性皇族と民間人の男性との子供を皇位に就けようとか、外国人を連れてこよう、などと安易な道を選ばなかった。
悠仁親王殿下がおわすのに、軽々しく先例を捨てるなど、皇室の重みを知らぬ者の言である。
甘利明氏如き、およそ皇室史に詳しいとは思えない小者が何を言おうが勝手だが、政権与党最大の実力者の言とあらば、聞き捨てならない。二階俊博自民党幹事長である。二階氏は皇位継承に関して、「男女平等や民主主義の原則に従って検討すれば、おのずと答えは出る」と言い放った。
ほう。男女平等や民主主義を皇室に持ち込んでよいと、いつ誰が立証したのだ? 寡聞にして知らない。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中
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