上杉謙信を何度も撃退した関東の名城を訪れる
おっさんカーマニアのクルマ旅は、おっさん好みの目的地がなくてはならぬ。それは第一に城跡! 特に山城にトドメを刺す。山城=難攻不落。おっさんは常に難攻不落を理想とするのである。
山城というと、本場は中部以西の西日本だが、いやいや、関東にも名城はある。そのひとつが栃木県佐野市の唐沢山城。かの上杉謙信を何度も撃退したという実績を持つ。
唐沢山城の高石垣。関東には珍しい
愛車のエリート特急こと先代BMW320dで、早朝の東北道を北上。1時間ほどで北関東道の佐野田沼インターに到着だ。疾(はや)きこと風のごとし。
おお、あの山か!
見た目は地味だが、おっさん一人旅の目的地は地味なほうがいい。地味こそ美味。クネクネとした山道を5分ほどクルマで上がると、そこはもう城跡の入口だ。ヤケに猫が多いが気にせず先へ進もう。
山頂部の本丸跡には、関東には珍しい高石垣が残っている。本丸からは東京方面も見渡せる。江戸時代初期には江戸の大火が見えたというが、まさにここは関東平野の北の端。関東に睨みを利かせる要害の地であることを実感だ。
駐車場に戻ると、げえっ! 猫がエリート特急の周囲に集合し、トランクの上にも乗っかっている。なぜオレのクルマばかりに? 猫もエリートが好きなのか? それともおっさんが好きなのか? 謎だがいい思い出になったぜ。アディオス猫ちゃんたち。
唐沢山城は猫天国だった。なぜかエリート特急に群がる猫ちゃんたち
おっさん判定:唐沢山城/星2つ!(3点満点)
続いては、スバル本社で有名な群馬県太田市の金山城に向かう。太田市街にそびえたつ独立峰全体が城域だ。
ここも上杉謙信を撃退したことがあるというからやるじゃないか。謙信公は毘沙門天の生まれ変わり。おっさんは強い男が好きである。それを退けた城に行かずに死ねん!
山腹の駐車場にエリート特急を止め、徒歩で本丸へ。途中の堀切遺構等は見事に復元されており、山城マニアには見逃せないポイントだらけだが割愛。
20分ほど山道を登ると、見事な石垣が残る大手虎口が現れた。その上の南曲輪には、おっさんの銅像が。誰かと思えば中島飛行機(現スバル)の創業者・中島知久平氏でありましたか! さすが太田市。
金山城の大手虎口。見事な石垣に感動
金山城に立つ中島知久平氏の銅像にカーマニア号泣
山道を下ると、途中に超モダンかつ重厚な建築物が。「太田市立史跡金山城跡ガイダンス施設」である。設計はなんと、新国立競技場も手掛けた隈研吾氏! 受付で「あのー、なぜ隈先生がこちらの設計を?」と尋ねたところ、「え~と、たぶんコンペだと思います」との答え。特に地元との縁はないようだ。軽く落胆。
隈研吾氏設計のガイダンス施設。さすがの存在感
おっさん判定:金山城/星3つ!
太田市に来たからには、行かねばならぬ場所がある。それは「三日月村」なるテーマパークだ。
三日月村とは、1971年に放送され大ヒットしたテレビ時代劇『木枯し紋次郎』に登場する村。中村敦夫演じる紋次郎が、くわえた楊枝をピュッと吹いて畳に突き刺すのが実にカッコよく、当時小学生だった私も盛んにマネをしたが、ちっとも刺さらなかった。25年ほど前にも訪れているが、超B級だけにまだあるのだろうか?
スマホで調べると、ありましたあ!
駐車場入口で、「駐車料金600円」の文字に息を呑む。超B級なのに……。よっぽどやめようかと思ったが、もう二度と来ることはないのだからと思い直し、ドブに捨てるつもりで600円を投入。予想通り駐車場にはクルマが1台もいない。みんな600円の文字を見て引き返したのだろう。つーか最初っから来ないか。
駐車料金600円を払って三日月村へ
入口でさらにビックリ。「お客様各位 マスクのない方は入村できません」とのこと。感染したくても難しかろうに。いや、これがウィズコロナ時代のライフスタイル。660円払って入村する。
オレひとりでもマスクは必須!
内部は、25年前とほぼ変わっていなかった。江戸時代の村や宿場町が実にしっかり再現されており、歳月にさらされた分、逆に本物感が増している。城跡より本物っぽいかも!? 屋根に生えた雑草が泣かせるぜ。
屋根の雑草が泣かせる
木枯し紋次郎の人形
何せ客は自分ひとり。村内でも孤独なおっさん一人旅だが、最奥部の茶屋で着物姿のおねーさん(係員)2名を発見! (すわ! 客が来たわ!)みたいな感じで急いでマスクを付けるところが泣かせる。干してある洗濯物はおねーさんのものだろうか? 生活感にホッコリ。
洗濯物も泣かせる
駐車場にはエリート特急のみ
おっさん判定:三日月村/星4つ!(満点超え)