更新日:2020年12月01日 09:45
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唐揚げブーム、コロナ禍が追い風に? 市場規模1000億円、“金賞レース”も過熱

唐揚げブームの歴史

唐揚げブーム1700年 中国から伝来 清の乾隆帝が巡視で開封を訪れた際に持ち帰った鶏肉揚げ料理「炸八塊」が発端となり、その他地方の同様の食品と融合し日本に伝わったとされる。 1932年 外食に唐揚げ登場 銀座「三笠會館」で初めてメニューに登場。 1963年 第1次唐揚げブーム 欧米からのブロイラーの導入により鶏肉生産効率が飛躍的に向上。外食産業に唐揚げが定着、同時期に大分県中津市、宇佐市で唐揚げ文化が発祥し、主要都市に拡大。’74年に日清製粉が発売した「日清から揚げ粉」により家庭にも普及。 1986年 コンビニにて唐揚げ販売開始 ローソンがレジ横のホットスナックコーナーで「からあげクン」を提供開始、他店もそれに続く。ローソンは現在までに250種類以上を販売。 2009年 第2次唐揚げブーム リーマン・ショックによるデフレ、その後の震災の影響で鶏肉価格が下落し唐揚げ需要が拡大。さらに大分県中津市・宇佐市の有名唐揚げ専門店が東京に出店したのを機に、唐揚げの普及が加速。 2020年 唐揚げ専門店が爆発的に増加 唐揚げ専門店に大手外食チェーンも参入し2018年の1408店から2487店に急増。各スーパー惣菜部門も唐揚げに注力を開始。

調理法の改善により唐揚げの味も進化

 唐揚げ自体もここ2年前後で変貌を遂げている。唐揚げを年間300食以上食べ歩くフードライターの松本壮平氏は、「居酒屋の人気メニューランキング上位に毎回必ず唐揚げが入ることで、大手外食チェーンやスーパーが開発に力を入れているため」と話す。  そして、近年の調理法の変化とサイズアップも拍車をかけている。 「粉を肉にまぶすブレッダータイプが、専門店以外にも普及しました。衣が厚いと油を吸って味が落ちるからです。数年前までは衣と肉の比率がひどいものでは3:7程度だったのが昨今では1:9ほど。肉色が透けて見えるほど下処理の粉が薄い専門店もありますが、肉の旨味を生かすにはそれで十分。  おかげで、ここ数年はまずい唐揚げに遭遇する率が格段に下がったように思います。スーパーも同じ調理法を導入したことで、お惣菜の唐揚げの味が1~2年ほど前に比べ飛躍的に向上しました」
唐揚げブーム

水溶き小麦粉ではなく、粉をまぶすブレッダータイプの衣となってから唐揚げの味が大きく向上したとされる

 また、有名専門店では一つの大きさがゴルフボール大の35g程度から一回り大きい50~60gのものが主流になった。 「断面が増えると旨味が逃げやすくなるのが理由の一つです」  消費動機と時勢の適合、基本的に原価率が安く抑えられる点などの条件が揃って加速した昨今の唐揚げブーム。その勢いはしばらく止まりそうにない。
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「金賞」唐揚げがやたらと多い理由とは
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