更新日:2020年12月04日 16:14
エンタメ

和牛なき「M-1」の準決勝。全26組の激闘を元ファイナリストがレポート

◆Bブロック

 トップバッターは「祗園」。大阪準々決勝で大爆発したと聞き、初の決勝進出も期待されたが、ネタ自体が動画で配信もされている2回戦で披露したネタだった。平日の17時開催にもかかわらず会場に来ている観客。濃い目のお笑いファンなのだ。2回戦の動画も必ず見ていると考える。普段大阪で活動する祗園。東京で準々決勝に出場したコンビよりもネタバレはしていなかったと思う。ネタを見ていないので何とも言えないが、動画で配信されていない準々決勝のネタをなぜやらなかったのか不思議でならない。
祇園

祇園

 2番手は「マヂカルラブリー」。2回戦のネタが面白すぎたため、それよりかは少し弱く感じたがバカバカしさと勢いがあり、重い空気を跳ね返した。3年ぶりの決勝進出であり、3年ぶりの上沼恵美子さんの前でのネタ披露となる。何が起こるのか? 楽しみで仕方がない。
マヂカルラブリー

マヂカルラブリー

 3番手は昨年のファイナリスト「からし蓮根」。4番手は「カベポスター」。フランケンシュタインのようなサイズ感と風貌のボケ担当伊織君。彼は無言で動きながらボケを繰り出す。それを待ち、よきタイミングでツッコミ担当の杉本青空君がツッコむ。持ち味ではあり面白い。「カベポスター」はテンションは高くなく淡々としているがワードセンスが光るコンビである。この2組はコンビの言葉のラリーが多めのコンビではない。今回のような異例の重い空気の会場では特にツッコみの待ちの時間が際立ち過ぎて、強く跳ね返すことが出来なかったように感じた。
からし蓮根

からし蓮根

カベポスター

カベポスター

ネタが悪くなくても「時世」に負けることがある

 5番手のファイナリスト経験のある「ゆにば~す」はツッコみが強弱が会場の空気とマッチしていない部分が多く見られた。「からし蓮根」「カベポスター」同様、ネタ自体の出来が悪くない分、時世に負けた感はある。
ゆにば~す

ゆにば~す

 6番手は「キュウ」。独特のネタである。それゆえに少し難しく、このネタを頭で考えしっかり笑うには、なかなかハードルが高い。敗者復活戦で必ずチェックしてほしいコンビである。
キュウ

キュウ

 7番手は4年ぶりの決勝進出となった「アキナ」。見終わって思ったことではあるが会場の空気が一番重かったのはBブロックだったように思う。そんな中、アキナは空気を変えることに成功して終盤は動きもあり、所作も面白く大きな笑いを起こした。ネタの内容が審査員好みではないように感じられ、少し心配したが再び決勝の舞台へ戻ることとなった。
アキナ

アキナ

 Bブロック終わりに会場の換気やM-1関連の告知、並びに審査員や観客のトイレなどで10分ほど時間が取る。ここでようやく観客も肩の力が抜けていく。そして、爆発を予感させるCブロックへ突入する。
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ブロックが違えば、きっと結果も違ったかもしれない
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1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子

芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)

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