◆Dグループ
トップバッターはラストイヤー最後の砦「
学天即」。2番手は双子コンビの「ダイタク」。2組ともに簡単にいえば、淡々としていた。そこが「学天即」はベテランのようでほかの舞台では見やすいかもしれないが、ここはM-1の舞台。牙をしっかり見せてほしかった。「ダイタク」は観客をハメられず、苦戦していた印象だった。2組とも力もあり、経験もある。敗者復活戦で巻き返してほしい。
学天即
ダイタク
3番手は昨年のファイナリスト「
見取り図」。さすがである。「おいでやす小田」君もそうだったが、重い空気の舞台はツッコミに力のあるコンビは有利だ。パワープレイで場の空気を作り出せる。盛山君の力で他との差別化をしっかり出し、ネタの展開もさすがだった。余裕の3年連続決勝進出である。
見取り図
4番手も昨年のファイナリスト「
ぺこぱ」。今年大ブレイクを果たし、誰しもが「ぺこぱ」の「やり方」を知っている。その部分で何か迷いを感じた。昨年を踏襲するのか? 破壊するのか? この狭間に揺れているようなネタに感じた。昨年のファーストラウンドで見せた堂々とした「ぺこぱ」を俺はまた見たい。
ぺこぱ
5番手は「キングオブコント2020」ファイナリストの「
滝音」。出来はよかったと思う。決勝進出はあるかもと思った。しかし、2組前に出た「見取り図」と比べるとネタの展開的に淡々としていて強いツッコミワードも立っていない。「インディアンス」同様、「見取り図」と出番が近くなかれば、また違った展開になっていたように感じた。敗者復活戦で化ける可能性は高い。
滝音
6番手は昨年のファイナリスト「
ニューヨーク」。凄すぎた。出場コンビの中で一番笑った。全部笑った。展開も完璧。テーマも最高。漫才が始まってボケ担当嶋佐君の第一声から笑った。昨年トップで「最悪や」発言、その後キングオブコント準優勝。すでに「M-1」では優勝候補のような佇まい。「人は1年でここまで変われるのか?」と思うほどの変貌ぶりである。昨年、「最下位」だったニューヨークが「優勝候補」として「M-1」に挑む。
ニューヨーク
その「ニューヨーク」に待ったをかけたのが今年の準決勝の大トリ、7番目で登場した「
錦鯉」。最年長コンビであり、ボケ担当長谷川雅紀さんはM-1史上最高齢の49歳。そんな2人が全コンビを「振り」にして一番バカバカしい漫才を披露し爆笑をかっさらった。雅紀さんは審査員のサンドウィッチマン富澤君、ナイツ塙君は歳下。中川家礼二は同級生。「第1代M-1」チャンピオンと同じ歳の第16代チャンピオンが誕生するのか?
錦鯉
12月20日の決勝が今から楽しみで仕方ない。
<文/ユウキロック 撮影/山川修一>
1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『
芸人迷子』
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