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『進撃の巨人』を読んだ東大生が「世界史を学ぶ最強の教科書」と考える理由

『進撃の巨人』から見る「社会」

進撃の巨人 いったい『進撃の巨人』のどこが勉強になるのでしょうか? それは作中世界の社会構造にあります。『進撃の巨人』を読むことで、支配と差別について学ぶことができるのです。  原作マンガでは、巻を追うごとに徐々に様々な謎の真相が明らかになってゆくのですが、中盤頃から「エルディア人」と呼ばれる民族と「マーレ人」と呼ばれる民族の争いがメインテーマとなります。  エルディア人は遠い昔に帝国を築き上げ、世界を支配した民族として、1000年単位で時間が過ぎた劇中の時代でさえ、半ば恐れ、半ば軽蔑されています。マーレ人はかつてエルディアに支配されていた民族ですが、いまでは立場が逆転し、エルディア人を厳しく支配する立場にあります。  そして、このマーレによるエルディア人支配の方法が、非常にリアルなのです。

世界史嫌いにこそ読んでほしい理由

 今でこそ世界史の勉強は大好きになりましたが、元々僕は世界史が大嫌いでした。  日本の歴史を学ぶのならいざ知らず、全然知らない国の歴史となると、言葉や文化はもちろんのこと、気候も地形も何もかも違います。  たとえば、「草原地帯に暮らしている遊牧民族」の話などをされても、興味がわかなかったのです。  生まれてこの方、東京の下町から出たことがなく、見渡す限りの草原など、アニメや漫画の中でしか存在を知らなかったのですから、僕の乏しい想像力では彼らの暮らしがまったく見えてこなかったのです。
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民族紛争は現実も変わらない
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