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今日は無礼講の真意は? 昭和生まれの人と新入社員がお酒を飲む際の注意点

お酌のマナーもいろいろ……

 日本ならではの文化がお酌です。基本的には目下から目上にお酒を注ぐのです。「どうぞ」などと声をかけて注ぎます。お酒のボトルは必ずラベルを上にして持ちます。さらに、両手で持つのがマナーとされています。  タイミングによっては、目上からお酌をされることもあります。ビールのグラスや日本酒のお猪口なら、両手で受けます。昭和の場合は、この時点でお酒が残っていたら飲み干してから差し出します。しかし、これは一気飲みなので、無理しないでください。
お酌

ビールや日本酒は両手で持って注いでもらいます。グラスの場合は少し斜めにするといいでしょう

 逆に、ワイングラスは注いでもらうときにグラスは持ちません。相手が上司でも置いたまま注いでもらいます。しかし、それだと横柄に見えてしまうかもしれないと気にするなら、グラスの底に指を添えて注いでいるところを見つめれば誠意が伝わります。  それでも「お酌をされるときはグラスを持って傾けるんだぞ、覚えておけ」なんて言う上司がいたら、マナー知らずと思いつつ、グラスを持ってお酌をしてもらいましょう。ワインの味は変わりません。  お酌をしてもらったときも、乾杯のときと同じく、一口飲みましょう。口を付ける振りだけでもかまいません。お酒を飲むように強要するのはアルハラ(アルコール・ハラスメント)なので最近は減っていますが、もしかしたら出会ってしまうかもしれません。そんなときは、「下戸なので」「薬を飲んでいるので」「明日の仕事が早いので」などと言って切り抜けましょう。

「今日は無礼講」の本当の意味は?

 上司が最初に「今日は無礼講で」などと言うことがあります。これは無礼講という言葉の意味を正確に理解することで、二重の勘違いを防ぐことができます。礼儀作法や身分や地位の差を気にしないで行う宴会という意味です。昔は、身分のわかる装束を脱ぎ、上下関係のわからない状態で酒を酌み交わしていたのです。
乾杯

無礼講といわれても、なんら態度は変えないでください

 ここでの1つ目の勘違いは「無礼」が構わないとされるわけではない、ということです。身分の差を気にせずみんなで楽しもう、という呼びかけなのです。  2つ目の勘違いは、心苦しいのですが、基本的に建前です。身分を気にしないでいいと言っても、新人が社長に対して武勇伝を語り出したりしたらアウトです。  新人に限りませんし、会社の飲み会にも限りませんが、お酒には飲まれないでください。酔っ払ったら、理性もなくなり、お互いに嫌な思いをしてしまいます。酒量は自己コントールし、酔わないようにしましょう。もし、物足りなければ、解散してから二次会に行けばよいのです。

酒はいくら飲んでも強くならない

 さて、「筆者がもっとも従う必要はない」と考えるのが、「酒は飲めば飲むほどに強くなる」というものです。「オレも死ぬほど飲んで飲めるようになったのでお前も飲め」というのは断ってかまいません。  お酒の強い弱い、つまりアルコールの処理能力は遺伝で決まっています。そして、残念ながら世界的に見ると日本人は最下位に近いほど弱いのです。もちろん平均値の話なので、一定数は飲める人もいます。しかし、それは飲み続けたとしても強くなるものでもないのです。立派なアルハラなので無理な飲酒や一気飲みの強要は避けてOKです。
酔っ払い

日本人はアルコールに弱いので無理して飲まないように注意しましょう

 以上が、「昭和の宴会マナー」です。こんなものがあるんだ、というのは頭に入れておきましょう。ポリシーに反するというのであれば無視していいですが、割り切れれば、余計なトラブルをスルーできます。  大手企業の新人さんと飲むと、上記のマナーはすべて完璧にクリアしています。筆者は比較的に気にしませんが、それでも流石だな、とは感じます。ストレスにならない範囲で、対応してみてはいかがでしょうか。<文/柳谷智宣>
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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