仕事

ウザがられず、愛され、慕われる。新時代の中年像をTKO木本武宏×原田曜平が探る

尊敬されたい気持ちを捨てて“隙”をつくる

イカした中年

「カッコつけ続けてたら、イタい先輩やったと思う」と木本さん

原田:若者の変化を受けて、ご自身も変わった部分はありますか? 木本:ここ5年くらいで大きく変わったのが、「尊敬されたい」と思う気持ちを捨てて、“隙”をつくるようにしたことです。昔は、尊敬されたくて、カッコつけていた。でも、そうすると「いじっちゃダメな人だ」と思われる。テレビのひな壇に出ても、誰もいじってくれないし、興味を持ってもらえないことに気がついたんです。 原田:どうやって隙をつくるようにしたんですか? 木本:自分語りをやめましたね。昔は後輩に飯を奢っては、延々と自分語りをしてたんです。先輩の経験から学んでくれと。でも、だんだん「この時間って、みんなにとって無駄だよな」と気づいて。  僕がもっと機転の利く先輩だったら、みんなで大喜利をするなり、面白いことを生み出す時間をつくれたはずなのに、結局、しょうもないことで後輩の時間を奪っている。そこで、「これはやめよう!」と。飲むにしても、事務所の後輩だと気を抜いてしまうので、他事務所の人や先輩など、気を抜かない人としか飲まなくなりました。

聞く耳を持つ上司になる

原田:隙を見せることで、後輩の反応は変わりました? 木本:だいぶ変わって、今では、普通にいじってくれるようになりました。「昔、木本さんは飲み会で自分語りばかりして酷かったですよ」と当時のことをネタにされることも多くて、「こいつら今まで、そんな目で俺を見てたんや……」って(笑)。でも、気がつけてほんまよかった。一生そのままやったら、めっちゃイタい先輩でした。 原田:広告の好感度調査によれば、若者は「聞く耳を持つ上司」に好感を抱く傾向があるようです。隙も大事ですが、若者から意見を強気に言われても、怒らないような度量の大きさも必要です。 木本:ウチの相方を見ても思いますね。木下は、後輩からいじられて、ペットボトルを投げつけたことが問題になり、事務所を退所しました。でも、実は木下は、普段そんなに怒らないヤツなんです。 原田:え、そうなんですか! 木本:というのも、「一度仲良くなったら家族だ」と思うヤツで、後輩も友達みたいに接してました。だからこそ、木下は「何でそんなこと言うんや!」とキレてしまった。でも、木下が100%悪いんですよ。あいつは「家族やから」と言って、周りに都合よく甘えてただけ。自分が甘えてるのに、気を使えって成立せえへん。  ましてや先輩やし、そもそも後輩のいじりもライブでは爆笑で、芸人として大正解のいじりやったんです。ちなみに、原田さんは、普段若者とはどう接しているんですか。 原田:僕も10年前はスパルタでした。でも、ある時期から効果がないとわかり、切り替えました。具体的には「9割褒めて、1割改善点を提案する」感じです。ある意味、ドライですよ。
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後輩に憧れられる中年の特徴
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