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女系天皇を認めると、「圭上皇」が誕生するところだった/倉山満

皇族の立ち居振る舞いで大日本帝国は滅んだ

 これまた近代史の話になるが、皇族の立ち居振る舞いは、時に国の存亡にかかわる。  昭和初期。海軍軍令総長に伏見宮が、陸軍参謀総長に閑院宮が就かれた。つまり、天皇の統帥権を代行する立場だ。宮様総長が実務などするはずがないが、結果は無残だった。ロンドン海軍軍縮条約で、伏見宮は反対派に担がれる。満洲事変以降、陸軍の一部は閑院宮の名前で組織を壟断。国策をも左右した結果、大日本帝国は滅んだ。皇族は存在しているだけで影響力が大きいのだ。だから、自制が求められる。

卑劣で巧妙なのが、「皇族の人権」という言い方

 さて、この程度の事実は踏まえた上で、現在と未来の話をする。  先週から、秋篠宮家バッシングが燎原の火の如く広がっている。特に、毒を薬と言いくるめて。最も卑劣で巧妙なのが、「皇族の人権」という言い方だ。  確かに、天皇・皇族には、言論の自由も、居住移転の自由も、営業の自由も、職業選択の自由もない。あまりのバッシングに、皇族にもプライバシー権(憲法13条幸福追求権に含まれると解される)は無いのか、との声もある。改善の余地はあろう。正すべきは正すべきだ。
小室圭さんと眞子さんの結婚記者会見

写真/日本雑誌協会代表撮影

 しかし、大原則がある。憲法の前に皇室はある。日本国憲法を基準に皇室を考えるなど、許されない。男女平等も、国民主権の民主主義も、恋愛の自由も、風の前の塵に同じ。皇族に対し最も認めてはならないのが、婚姻の自由だ。

皇族に人権はない。だから尊い

「せめて皇族に好きな人と結婚させてあげて」と煽る輩は、幼稚な世間知らずだ。日本の政財界の子女で政略結婚でない人物など何人いるのか。少し調べれば閨閥の網の目のようなネットワークは一目瞭然だ。ほとんどの総理大臣は閨閥で繋がっているのが日本の現実だ。何をいまさら「皇族にも婚姻の自由を」などと偽善を言うのか。  皇族に人権はない。だから尊い。そして今、公称2681年の歴史を悠仁殿下が負われている。ここに価値を認めないなら、いかなる理屈も通じまい。皇位は一度も例外なく、男系継承されてきた。一部には、非人間的な面もある。世襲の常だ。では、先例を無視、歴史を変えるならば、世襲をやめるか?
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途切れることなく続いてきた日本の皇室を壊したい人間がいる
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