更新日:2021年12月11日 11:46
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「既得権益の打破」から”既得権益集団”となった日本維新の会/倉山満の政局速報

自民と立民を足しても公明に敵わない

橋下徹オフィシャルサイト

(画像:「橋下徹オフィシャルサイト」より)

 大阪での力関係は、 維新>公明>>>超えられない壁>>>自民>>>>>>>立民 自民と立民を足しても公明にかなわない。  じゃあ、なぜ維新が大阪限定とはいえ、こんなに力を持つのか。それくらい大阪の政治がひどかったからです。細かいことを抜かして一言で言うと、大阪に住んでいるとたいていの人は維新が好きになる。それくらい、大阪市と大阪府の行政はひどかった。それを維新が正した。  ちなみに公明党は大阪では維新の「連立与党」で、国政とは構図が違う。維新の方も、国政で自民が気を遣うように、公明に気を遣う。  だから大阪では維新と公明だけが勝つ、なんて結果になる。

大阪以外の有権者が日本維新の会に投票する意味

 こういう力関係、それを勝ち取ってきた歴史があるので、維新の大阪市議と府議は自負心が強い。それが橋下さんが言ってしまった「大阪市議府議が他を支配する」という党の構造につながる。  そもそも日本維新の会は、大阪での改革を実現する為に国政にも進出した、という歴史がある。  だから橋下さんの発言は「どっちが上かわかってんのか?」とのマウンティングの意味もある。事実、国会議員と地方議員は同じ一票なので、党の運営に関して決める時、数が多い大阪の市議府議の意向で決まる。  ここで問題。大阪以外の有権者が日本維新の会に投票する意味ってなんでしょう?  大阪の市政府政なんて、他の都道府県の人に関係ないし。どれくらい関係ないかというと、東京どころか京都の人は維新を嫌っている。「そっちで勝手にやって!」って感じ。

「既得権益の打破」から既得権益集団へ

 ただ、「自民に不満、しかし立民は論外」と思っている人の支持で維新は躍進した。大阪以外でも票を伸ばし議席をとった。  だから、ここで全国政党への改革をすべき時だったけど、大阪の市議府議が党を支配する構造を変えなかった。維新の売りは「既得権益の打破」で、大阪では実現したけど、実は自分たちが既得権益集団だった、というシャレにならないオチ。  東京の小野議員が文通費100万円を問題視したのも、大阪に対して「私は1000%の忠誠心を示します」とアピールしたようにしか見えないんですよね。こうなると。

大阪ファーストな日本維新の会は今後伸びるのか……

 日本維新の会は、大阪の行政改革が目的で大阪の地方議員団が支配する政党だと天下に示した。  さて、これを続けるか、やめるか。  こんなんで今後も伸びるのかなあ。  そもそも政権を獲る意思がない野党第一党に国民は辟易している。続く維新も???  まだ最終的な結論を出すのは早いけど、しばし冷淡に見守る。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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