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地球温暖化は「最悪の大量破壊兵器」である――米国の姿勢が変わりつつある背景

集中豪雨や巨大台風、異常な暑さや寒さ……毎年のように起きる異常気象は、地球温暖化の進行によるものだったとの見方が強まっている。既に温暖化地獄は始まっていたのだ! ◆地球温暖化は「最悪の大量破壊兵器」。世界中で異常気象  今、地球温暖化が原因とみられる気候カオスが世界を脅かしている。
異常気象

今年の夏に広島や兵庫、京都など西日本各地で甚大な被害をもたらした記録的な大雨について、気象庁の異常気象分析検討会は、「数十年に一度の異常気象だった」と結論づけた

「地球温暖化は最も恐ろしい大量破壊兵器」――今年2月、米国のケリー国務長官は講演の中で危機感を露わにし、各国に対策の必要性を呼びかけた。温暖化対策に後ろ向きである米国の姿勢が変わりつつある背景にあるのは、頻発する気象災害だ。気象庁・気候情報課の竹内綾子調査官は「個別の災害の直接の原因を、温暖化であるか否か断定するのは難しい」と前置きしながらも「毎年、世界各地で大規模な気象災害が起きていることは事実」と認めた。 「’05年夏に米国南東部を襲ったハリケーン『カトリーナ』は、死者1300人以上、被害額およそ1470億米ドル(当時のレートで約16兆3000億円)と、すさまじい被害をもたらしました。’12年には米国中部は高温・少雨により干ばつとなり、世界の穀物価格が過去最高に高騰。米国南西部は昨年から雨量が激減し、野菜や果物、酪農などの主要な生産地であるカリフォルニア州では、昨年1月から今年5月までの統計で雨量が平年の3~4割程度となっています。さらに、昨年末から今年1月、上空を流れる偏西風が大きく蛇行したことで、北極側の寒気が流れ込み、米国各地でマイナス30℃前後まで気温が低下、さらには強風で数十万軒が停電になるなどの被害が出ました」  気象災害に襲われているのは、米国だけではない。 「欧州では、昨年5月から6月にかけ広範囲で大雨が降り、チェコとドイツでそれぞれ2万人以上が避難しています。アフリカ東部では、’11年に1000万人以上が食料不足に苦しんだ大干ばつが発生、アジアでは’08年に巨大サイクロン『ナルギス』がミャンマーを襲い、13万人以上が死亡したと報じられています。昨年11月にフィリピンを直撃した超巨大台風『ハイエン』は、死者・行方不明者合わせて7000人以上、被災者約1600万人という被害をもたらしています」  また、気象庁・気候情報課の石原幸司調査官は「温暖化による悪影響は既に現実化しているというのが世界の専門家の間の共通認識」と語る。 「気候のメカニズムはまだわからないことも多いのですが、はっきりわかったときは手遅れ。予防原則に基づき、温暖化対策を急ぐ必要があるでしょう」 取材・文/志葉 玲 写真提供/被災地NGO恊働センター(http://www.pure.ne.jp/~ngo/) ― 地球温暖化で人類滅亡が始まっていた!【1】 ―
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