中日・谷繁監督「プロは道具へのこだわりを通じ自分の特徴を知る」
―[俺の職場に天才はいらない]―
週刊SPA!連載<俺の職場に天才はいらない!>
谷繁元信監督兼選手の管理職的独り言
◆道具へのこだわりを通じ自分の特徴を知る。それがプロフェッショナル
プロ野球選手たるもの、商売道具である野球道具には、こだわりを持つべきだ。オレたちはこれで飯を食っているんだから、プロである以上、むしろこだわらなければいけないと思う。
先日のコラム(※週刊SPA!5/19号の連載)で書いたとおり、オレの場合はミットにはかなりこだわりがある。でも、実はバットについてはそれほど強いこだわりはないんだ。キャリアで初めて3割を打った’96年のバットは記念に自宅に飾ってあるけど、その程度かな。
とはいえグリップの太さ、バットのバランスや材質は、27年間のキャリアでいろいろ試行錯誤しながら、今の形にたどり着いた。職人さんに「もう一皮だけ薄くしてください」とか「もう少しヘッドが効くようにしてほしい」とか注文してね。特にバットのバランスは、自分の今の打撃フォームやバットスピードと関連性が高いもの。
例えば短距離タイプのバッターなのに、長距離打者のバットを使っていたら、その選手の良さは最大発揮できないでしょ。だからバットにこだわる選手はとても多いね。
◆仕事を頑張る人は何を着てもかっこいい
まあオレはミットへのこだわりが強い分、バットだけでなく、洋服や車、髪形にもさほどこだわらない。そりゃオレだって若い頃は、まずは容姿からと思って20歳の頃に口髭を生やしたりしたけどさ(笑)、だけどある時、気がついたんだ。仕事を頑張っている人って、何を着ても、何を使っても一流に見えるって。野球選手だけでなく、大切なのは本質、中身。見てくれや外見じゃないんだよ。
もちろん身だしなみは大切。だからといって高価な服を着ればいいってもんじゃない。その人、その人に似合う恰好ができる人。自分の特徴をわかっている人。オレはそこにプロフェッショナルを感じるね。
昨年、兼任監督になってからは、チームの規律を決める側になったけど、特に茶髪を禁止にしたりはしなかった。現場での決め事やルールも、特にしばったりはしてはいない。
オレたちプロのアスリートは、自己管理が求められる世界。ファームや育成のレベルの選手なら、ある程度はルールが必要かもしれないけど、野球の技術が一つ抜けたところにいる一軍レベルの人たちにそんなの必要ないでしょ。かえって失礼だよ、そんなことをいちいち言うのは。
だってグラウンドの成績がすべての世界じゃない、プロ野球という世界は。
※「俺の職場に天才はいらない!」は週刊SPA!にて好評連載中
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