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「昼間から海やプールに行くのは時代遅れ」女子大生に「ナイトプール」が人気の理由とは?

 沖縄では梅雨が明け、夏には海水浴やプールへ行く人は多い。昨年頃から、女子大生や20代オトナ女子の間でブームとなっているのが「ナイトプール」だ。 ナイトプール「ナイトプール」とは、その名の通り「夜間に泳げるプール」のこと。都内では夕方から夜にかけてプールを一般開放するホテルが多く、少し贅沢なリゾート気分を堪能できることが人気となっている。ホテルニューオータニを筆頭に、ANAインターコンチネンタルホテル東京や京王プラザホテルなど、宿泊せずとも利用でき、水着のままお酒や料理が楽しめるのが魅力のひとつらしい。  入場料が3000円から1万円と割高にも関わらず、人気を集める理由は何だろうか? まず第一に「とにかく雰囲気がいい」ことが挙げられる。昼間の海やプールは家族連れも多く、落ち着いた雰囲気を楽しむことはできない。それが「ナイトプール」となれば、音楽やライトアップの演出でオトナの空間を堪能できるのだ。そして、紫外線や日焼けを心配しなくていいことも人気の理由だという。しかし人気の秘密はそれだけではなく、そこには若者の心理が隠されていた。  青山学院大学3年の女子大生は、匿名を理由にこう話してくれた。「学生にはちょっと高いけれど、それ以上の魅力があるから『ナイトプール』に行くんです。昼間から海やプールに行くなんて時代遅れですよ。夜は日焼けを気にしなくていいし、涼しくて気持ちいい。キラキラしたゴージャスな雰囲気はオトナになった気分で楽しい。それから写真をFacebookに、最近はInstagramにもアップすると自分の生活が充実していることを周りにアピールできますからね(笑)」  どうやら「ナイトプール」が流行した背景には、SNSの普及があるらしい。ナイトプールを楽しむ多くの若者にとって、プールで泳ぐことよりも写真を撮ることが目的となっているのだ。セレブ感が漂う高級ホテルのプールで過ごす写真は、SNSにアップするのにうってつけのシチュエーションで“おしゃれ女子”を演出できる。まさに時代の流れにぴったりハマったというわけだ。 「SNSで褒められるとうれしいから、プールで泳ぎたいっていうよりはSNSに写真をアップするのがメインですね。友達と一緒に食事やお酒を楽しんだり、プールサイドの椅子にもたれたり、プールに浮き輪でぷかぷか浮かびながら撮影すると「いいな~♪」って反応がいっぱい返ってくるんです。来年は就活だから、今年は大学生活最後の思い出づくりをします」(上智大学3年の女子大生)  一方で、これまで夏のレジャーの定番といえば「海水浴」だったが、事件やトラブルによって「飲酒禁止」「音楽禁止」などの厳しい規制に見舞われた逗子海岸は、利用者を激減させている。かつては「関東随一のビーチ」と言われた逗子海岸も「平成26年度 神奈川県海水浴場利用者数」を見ると、平成24年度の73万2000人から平成26年度には20万1300人にまで減ってしまった。音楽とお酒が楽しめないビーチに若者たちは「用ナシ」というわけだ。かつての湘南の夏の賑わいは、東京の高級ホテルへと移り変わりつつある。 「ナイトプール」は大阪、名古屋など各都市への広がりを見せつつある。だが「学生が増えすぎて、オトナの雰囲気がなくなってきている」という声も聞かれた。今年の夏も若者たちは、アーバンでメロウなひとときを過ごすのだろう。 <取材・文/北村篤裕>
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