恋愛・結婚

付き合ってもないのに振ってくるドラッグじいさんの絶望――鈴木涼美の『おじさんメモリアル』

『おじさんメモリアル』第6回「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは自らを饒舌に語るのか』(青土社)、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)などの著作で「性を商品化する」女性たちの内面を活写し注目されている文筆家の鈴木涼美が、「おじさん」をテーマに日刊SPA!で連載する『おじさんメモリアル』第6回!

【第6回 ドラッグじいさんの純情な感情】

 世に悪いオトコはたくさんいるが、誰が実はどれくらい悪いかなんて、結構知る由もない。私の付き合ってきたオトコたちは、私のことを思ってくれる友人たちから見れば信じられないほどだらしなくて酷くて悪いオトコであったりするのだが、私から見ると世界で一番素敵な人だったりしたわけで、もう32歳になるとその恋して阿呆になる期間の真実もまたひとつの真実として愛でることができるので、そう簡単にあれは悪いオトコだったとひとりごちたりする気にもならない。

 ただ、一応法治国家に住んでいる以上、犯罪は悪いとはっきり言えるので、過去を振り返って犯罪者のオトコはおらんがぁと問いかけてみたところ、結構いる。まず、高校生のとき、ヤンキーに憧れる純朴な娘だった私が好きだったオトコはほとんど全員が喫煙・飲酒・悪ければシンナーやガスを吸引していたし、大学時代に付き合うオトコの条件第一位だった「運転が上手いオトコ」たちは多くが法定速度など守っていなかった。新聞社時代にインサイダー取引にこそ立ち会わなかったものの、何かというと器物破損を繰り返す証券マンとは付き合ったし、生理の私に婦女暴行をしてくる代理店オトコや、歌舞伎町なんて住んでいると軽めの暴力事件にはよく立ち会う。

 そんなことを思い出しながら、銀座ホステス時代の大先輩セリさんと餃子をつついていたところ、彼女が出逢ったとある違法薬物常習者である客の話になった。

⇒この続きは連載をまとめた単行本「おじさんメモリアル」で

【鈴木涼美(すずき・すずみ)】
83年、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。09年、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。専攻は社会学。「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」(幻冬舎)発売中。現在は日経新聞を退社し、執筆業を中心に活動。幻冬舎plusにて「愛と子宮が混乱中 夜のオネエサンの母娘論」(http://www.gentosha.jp/articles/-/3708)を連載中
撮影/福本邦洋 イラスト/ただりえこ

おじさんメモリアル

著者が出会った哀しき男たちの欲望とニッポンの20年
日刊SPA!の連載を単行本化




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