貧困ビジネスに搾取される人たちには“グータラ病”が蔓延している【生活保護の闇現場】
経済的に困窮した社会的弱者を対象にしたビジネス全般を“貧困ビジネス”と呼ぶ。非正規労働者の賃金をピンハネする「日雇い派遣」も貧困ビジネスに該当するが、もっとも悪質とされるのは、目をつけた社会的弱者たちに生活保護費などを“不正受給”させ、そのカネをかすめ取る「囲い屋」の存在。
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詐欺の構造・スキームは明らかにされているが、現場の生活情景はイメージしづらい。しかしこの度、貧困ビジネス施設「ユニティー出発(たびだち)」に入所した著者の長田龍亮氏が、自らの実体験をもとに搾取の実態、施設会長の人物像、そして法廷で争うまでの経緯を詳細に描いた骨太のノンフィクション『潜入 生活保護の闇現場』(ナックルズ選書)が出版された。
’13年7月下旬、長い海外放浪生活の末にアパートを引き払い、新宿駅近くのネットカフェで求人誌をめくっていた長田氏(当時・33歳)は、「個室寮完備」「3食付」「日払い相談可」と謳われた土木作業員の募集広告を見つけ、早速、指定されたさいたま市内の事務所まで面接に赴く。しかし、面接では「不況で土木の現場がない」ことを告げられ、生活保護の申請を打診される――ところから本書は始まる。
入所後、生活保護の認定を受けると、月1回役所から支払われる生活保護費(さいたま市の基準で12万5000円)は施設にすべて取り上げられ、入所者に支給されるのは「日払い500円」と呼ばれる1日500円の現金支給と、月に1度の「支給日」に支払われる5000円。合わせて月2万円以外の10万5000円は食費と寮費に消えていく。もちろん、食費と寮費はその価値に見合うものが提供されているわけではない。
『潜入 生活保護の闇現場』 長田龍亮・著 ナックルズ選書 本体1000円+税 |
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