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ブラック企業からブラック企業へ転職…SEからドライバーになった47歳男性の嘆き

 もし自分の勤務先がブラック企業だった場合、状況を打開する一番の方法は転職。だが、なかには新しい職場もブラックだったという笑えないケースもある。

SEから配送ドライバーへ転職

「本当はもっと慎重に転職先を探すべきだったのかもしれません。しかし、年齢的に正社員での求人自体が限られている状況で、選んでいる余裕なんてなかったんです」
SE

写真はイメージです

 そう語る南井幸雄さん(仮名・47)の前職はSE。コンピューター系の専門学校を卒業後、約20年間働いてきたが体力的に辛くなり、職種を変えることを決断した。 「30代半ばごろから辞めようかどうしようか悩みつつもズルズルと働き続けていました。当時の会社は、徹夜まで続く残業のほとんどがサービスというブラックな環境。しかもシステムの分野は常に新しいモノを取り入れていくため、SEの仕事は覚えることが多く、40代以降はそういった意味でもキツい。私の場合、管理職に出世できる見込みも薄かったため、転職できる最後のチャンスだと思ったんです」  しかし、当時すでに41歳。求人はあっても募集要項の年齢上限を超えており、応募できる会社はそれほど多くなかったという。 「想像以上に厳しかったですね。まだ営業職はそれなりに応募できるところがありましたが、それまで営業経験は一切なく自分に務まる自信がまるでなかった。そうなると残るは体力仕事しかなく、そこから消去法で選んだのは今のドライバーの仕事でした。車の運転が好きで、若いころから休日にはよくドライブに出かけていたので」  実際、転職したばかりのころはドライバーの仕事が楽しいと感じていた。しかし、すぐにそんな甘い世界ではなかったと思い知らされることに。

お歳暮シーズンの1か月間は連日長時間労働で疲労困憊

ドライバー

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「仕事を始めて2か月ほど経ったころ、お歳暮の配送を担当したのですがこれが本当に辛かった。期間中は朝7時前に出社し、8時~22時まで配達。それから会社に戻って雑務をこなして帰宅は24時過ぎという生活が1か月続きました。今もですけど、お中元とお歳暮のシーズンは地獄ですね。ただ、SE時代と違って徹夜作業はないので、その点ではドライバーのほうがマシなのかもしれませんけど……」  年収は430万円。労働時間はドライバーのほうが若干少なく、SE時代に比べると30万円ほど下がったが、時給換算すると今の仕事のほうが多いという。 「前職とは違い今の会社では残業代はきちんと払われています。けど、給料に占める残業代の割合が多く、仮にこれがなくなったら年収は100万円以上ダウンします。残業がないと生活が一気に苦しくなるため、その点は不安です」  ただし、それ以上に大きな問題なのが業務中に事故を起こした場合、その代金を自己負担しなければならないことだ。 「過失かそうでないかによって負担の割合は違いますが、いずれにしても事故時にいくらか負担しなければならないんです。ウチみたいな小さな運送会社ではよくあるケースらしいですが、以前事故を起こした同僚が100万円近く負担させられて本当に辛そうでした。日常的に細い路地を通ることが多く、飛び出しなどでヒヤッとする場面は毎日のようにあります。特に今のお歳暮シーズンは連日の長時間労働で疲れが溜まり、判断力が鈍っているのでそのうち事故を起こしてしまうのでは…という恐怖が常にありますね」
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転職を後悔しつつも今さら再転職は厳しい
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ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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