第101回

02年1月23日「喋りゲー」

・プレステ2のUSBスロットに対応マイクを差し込んでプレイするSCEのゲーム3本をまとめて体験した。メイドさん風の少女に声で指示を出す『オペレーターズサイド』(1/30発売)、刑事になってハードボイルド小説風の会話を楽しみつつ聞き込みや尋問をこなしていく『デカボイス』(2/13発売)、アニメの登場人物にセリフをあてていく『しばいみち』(2/13発売)。これがどれもかなり楽しめる。おすすめ!

・まず最初は慣れないやら恥ずかしいやらで、ほとんど「嫌々」喋らせられる。しかし、じわじわとハマっていくと、やがて気持ちを込めて、声をはり上げるようになるのだ。特に『しばいみち』は、相当きっついせりふ(高校生の立場で先輩に告白したりとか)を、近所中に響き渡るほどの声で言わなくてはならない。それがだんだんと気持ち良くなってくるのである。

・その快楽の正体はいわく言い難い。カラオケに陶酔するような。いや、ちょっと違うか。声を出すこと自体に、本能的な快楽があるのだ。オナニーみたいな。相手が聞いてなかろうが退屈してようが全く気にせずにぺらぺらぺらぺら喋り続ける人がいるけど、それはこの快楽の中毒になってるわけである。そういうところに、ゲームは新しいマーケットを発見したのかも。

・ただこれを思う存分大声でプレイする環境にいる人は少ないかも。プレステ2持ってラブホとか行くしかないね。


02年1月24日「信じられない」

・少年ジャンプ編集部から、高橋俊昌編集長の急死の報を受ける。新作アニメの制作発表会の席上で倒れられたということもあり以降大きく報道されたが、逆にそれゆえに、身近にいた人間は皆現実感を持てないでいると思う。僕も、未だに信じられない。

・大手出版社のマンガ編集者には、立場上かなり無理して仕事している人も多いが、マンガ家以上に作品をわかっていて、ほとんど作家としてのスタンスでアドバイスしている人もいる。高橋さんは後者のタイプだった。編集者が一流大卒のエリートばかりになった昨今、こういう人は本当に貴重だった。

・そして44歳とまだ若かった。当然、最前線の現場で活動されていたわけだ。僕も週明け月曜日には打ち合わせの予定だった。現場の混乱と困惑は想像に難くない。もちろん僕もだ。ただし、この人に叩かれ、鍛えられた編集者も、マンガ家も、幸福だと思う。過去を振り返っても仕方ないから、がんばって作品を創り続けましょう。

2005.03.19 |  第101回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。