第147回

04年1月13日「DVDで美少女ゲーム」

・美少女ゲームのマーケットや制作環境についていろいろとリサーチしている。今日は「DVD-PG(プレイヤーズゲーム)」のメーカーとして知られるさくら堂を訪問。DVD-PGとは、DVDのインタラクティブ機能を活用したゲームのことだ。リモコンを使って、映像をゲーム的に操作して遊ぶ。

・今のところこの形式に向いているのはストーリー性の強いアドベンチャーゲームである。特に、美少女ゲーム。同社ではPCの人気作品を続々と移植してかなりの実績を上げていて、最近はオリジナルのタイトルもリリースしている。この形式ならパソコンもゲーム機も持っていない人でも、DVDデッキがあれば遊べるのだ。マニア以外の方々はまずこのあたりで美少女ゲーを体験してみるといいのでは。


04年1月14日「911以降のニューヨーク」

・『イン・ザ・カット』試写。メグ・ライアンがとうの立った大学教師を演じる。殺人事件を目撃したことがきっかけに、危険な世界に、そして倒錯的な性愛にはまっていく。

・手持ちカメラで捉えるニューヨークの現在。ゴミの山。水はけの悪い道路。ジャンクフード。神経症やドラッグ中毒の人々。そしてメグ・ライアンが晒す、緩んだ肉体。それらの情けなさがポイントだ。ハリウッドの勧善懲悪エンターテインメントは911以降すっかりウソくさくなってしまった。しかしどんなに疲弊しても、退廃しても、人と、人のいる街は美しいのである。その風景をきちんと切り取る技術を持っている限り、アメリカ映画は強い。

・日本の街だって美しいし、日本人、特に若者は今本当に面白い。課題はそれを活写できるかどうかだ。予算やマーケットサイズを言い訳にするのはもう、よそうよ。

・ところで主人公はニューヨークのスラングを研究しているという設定なのだが、タイトルの『イン・ザ・カット』をスラング辞書で引いてみると面白い。

04年1月15日「クリエーター社長の時代」

・岡崎武士さんといえばかつてのカリスマ漫画家だが、今はCGクリエーターとして、自らプロダクションを経営しつつ創作活動を行っている。久々にその会社(アルファモデル社)に遊びに行ってみたら、かなりの優良企業に成長していて、驚いた。岡崎さんが社長だなんて漫画界の方々は驚くかもしれないが、成功の理由は、ビジネスについても、自身のずば抜けた絵のスキルからスタートしていることにあると思う。

・周囲を見回してみると、こういう時代、トップがクリエーターである会社が強いということがよくわかる。作家が倒産することはないのだ。逆に、作品についてわけのわかってない人がコンテンツを扱おうとすると、とんでもない暴走から破綻に至ることがよくある。IT系のベンチャーにそういうパターンはすごく多い。

・もちろん岡崎さんは個人作家としての活動も、デジタルツールを駆使して続行中。ファンは新発売の画集『void』(講談社)要チェック!

2005.11.30 |  第141回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。