第247回

1月27日「フ女子物件だったのか!」

・『ダージュオブケルベロス ~ファイナルファンタジーVII~』プレイ。とにかく美形キャラのかっこいい造形と所作につきる。シューティングだし難しいんじゃないかと思ってる人が多いみたいだけど、イージーモードは極端に簡単に設定してある。そしてゲームオーバーになっても、経験値そのままで再開できる。映画『アドベントチルドレン』に熱狂した向きのフ女子の方々もちゃんとエンディングを見られるよう、配慮してあるわけですね。うまいなあスクエニ。

・そしてこれ、ハマったらスムーズにオンライン対応に拡張することができる。映画(DVD売り上げは100万本突破だそうな)を大ヒットさせた原動力は女性ファンに違いないが、もしかしたらネットゲームも、このマーケットにブレイクしていくのか。

1月28日「フ女子物件だったのか?」

・『美しき野獣』試写。クォン・サンウが、巨大裏組織に真っ向から挑戦する刑事を演じる。最初から最後まですごい勢いで泣きじゃくり、殴り合い、血と汗と時にはクソにまみれる。CMで彼を見てかっこ良さがどうしてもわからないって人、ぜひ。

・刑事、検事、そしてやくざのボス。様々なタイプの人間それぞれの中に潜む「醜さ」がテーマである。それを「野獣」という言葉で表しているのである。3人の男達についてはそれぞれの野獣性が対照的でありつつどれもとてもリアルで、唸らされる。誰一人、「美し」くはない。だからこそ、素晴らしい作品なのだ。

・余計なお世話だが、邦題は『野獣』だけでよかったのではないか。「美しき」をつけた理由は、ビジネス的な戦略としてフ女子向けにアピールしようってことだろう。それはわかるんだけど、韓国映画についてはそろそろ、そこから脱却してほしいと思うよ。

1月29日「いよいよ大詰め」

・今日も『BRIDGE(仮)』撮影現場に。ワイヤーを駆使したスタジオセット撮影。

・CGI担当は、『キャシャーン』などのVFXで知られる野崎宏二氏だ。この人とジョン・ゲイター監督がこまめに打ち合わせをしながら撮影を進めている。後でデジタルエフェクトを重ねていくことを前提にしているから、セットの構造とカメラワーク、そして演技のタイミングは緻密に計算されていて、少しでもずれることは許されないのである。テンションの高い現場が続いていて、皆かなり疲労困憊しつつ、目をぎらぎらさせている。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。