第501回

9月21日「TGS2012」

・TGS(東京ゲームショウ)。1日目はネット経由で情報を求め、2日目に現地に。しかしなんだか1日目の方が充実していたかもしれない。いい時代になったってことだね。

・これから行く人は朝イチでモンハン4の整理券をゲットしてから、コーエーテクモとバンダイナムコを早めに覗いてみるのがいいかな。コーエーテクモ『無双OROCHI 2 Hyper』『三國志12』、バンダイナムコ『鉄拳タッグトーナメント2 Wii U Edition』『TANK! TANK! TANK!』が、WiiU(ウィーユー)実機で試遊できたから。

・PS3とPS Vitaのクロスプレイ機能の進化も興味深い。一方でスマホやタブレットとテレビの連携においても様々なサービスが提示されはじめている。大小2つの画面の使い方が、今後のゲームのトレンドだと思う。目の前の大画面と、手元の小画面。

・この10年の映像革新とは、ケータイに画面がついたことと、テレビが薄く巨大になっていったことに尽きる。いつのまにか普通になっていた環境に、ゲーム的な発想からコンテンツを送り込むチャンスなのである。

・コンシューマーのメーカーとタイトルは、激減の印象。そもそも任天堂もマイクロソフトも出展していないし、ソニーにしても重要情報は別途プレスカンファランスをもって先出ししている。各ソフトメーカーも、今はネットでの情報提供と体験版公開でマニア層へのリーチは達成できてしまうわけで、出展の効果をはかることは難しくなっているようだ。

・ただし、ネットのおかげで一方この現場からの情報発信はとても盛んになっている。ニコニコ生放送やユーストリームは多くのブースやステージに入り込んでいて、擬似的に会場に参加できた地方のゲームマニアは少なくとも数十万人に達している。メーカーとしてはその波に乗れるだけでもここに参加する意義はあるだろう。そしてユーザーとしては、会場に行ける人も行けない人も、年に1度メジャータイトルを一挙に吟味する貴重な機会になる。

・個人的にはゲーム業界上げてのお祭りという形を目指してほしかったが、もうそれは望むべくもないだろう。としたら今後は、象徴化に向けて進化していくべきだと思う。ゲーム業界各社相乗りの「放送局」をイメージしている。それはテンポラリーなものでも、常設のものでもいい。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。