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俺の夜

第七十七夜【前編】

変わりゆく新宿。
“夜遊び不毛の地”西口電気街に大人の遊び場が出現

【担当記者:苫米地】

 今、新宿の夜は急速な変化を遂げている。その主役を担っているのは新進の大規模店舗だ。新宿三丁目は外資系のファストファッションの進出や百貨店のリニューアルなどの再開発で活性化。店舗の営業時間の延長などで、夜はその客や周辺のOL、従業員らが三丁目や二丁目の繁華街を潤している。

 歌舞伎町では池袋、渋谷を制圧した北関東の大型家電量販店が満を持してオープンした。長年底冷えに震えていた歓楽街はアーチの向こうの大型店の莫大な集客力に期待を寄せているという。

 そんななか、とかく夜の変化の波からは取り残されているように見えるのが新宿西口一帯。整然とした高層ビル群を背後に置くせいか、老舗の家電量販店の間に、サラリーマン向けの大箱の居酒屋が秩序正しく並んでいるといった風情だ。また再開発などのエポックもなく、夜遊びスポットも老舗の一部……そんな新宿西口に、変化の兆しはあるのか。

 午後9時。普段は歌舞伎町のネオンを浴びる時間だが、素通り。東口と西口の”結界”大ガードへ。まずは景気づけにと昭和が残る”しょん横”こと「思い出横丁」のアーチをくぐる。焼き鳥の煙がもうもうと立ちこめる横丁を巡ると、なんとも不思議な光景が。カメラを提げた欧米人が大挙して闊歩するなか、赤提灯からは必死に呼び込むアジア系の女が列をなす。ふらっと入った焼き鳥店は店員も客も全員が外国人、全く落ち着かず、そそくさと店を出る。変わらなかった横丁の小さな変化に戸惑う俺。足早に電気街へと向かう。

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夜でも目映いネオンまたたく電気街。なんとこのすぐ
そばに今夏、北関東系家電量販店が殴り込むという噂も

電気街の雑居ビルに突如現れた”隠れ家”

 
 ここは午後10時にもかかわらず、家電量販店のネオンで昼間のような賑わい。さらに目立つのは大箱居酒屋の「290円」や「270円」の看板の文字。そこから出てきたスーツの一団が「100円」うどん店に吸い込まれていく。のぞけば満員御礼だ。つましい懐に思いを馳せていると、家電店の真向かいに中年サラリーマンが相次いで足を止めるビルがあった。ひっそりと「ガールズバー」と書かれたのぼり。階段の下には「60分・4000円」の看板も。ここは都庁のお膝元、しかも電気街のド真ん中。スナックですら遠慮する土地なのに……。キツネにつままれた気分で雑居ビルの細い階段を上ると金券ショップの真横に重くるしい木製のドアがあった。

 恐る恐る開けると「いらっしゃいませ~」と黄色い声が。

 のぞけばスーツ姿でごった返す店内のカウンター。そこにはカラフルな女のコがいるではないか!

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写真左からりくちゃん(20)、りかちゃん(20)、りなちゃん(23)、ゆいちゃん(22)。
皆、学生なので顔出しはNG。お店でご確認を。

撮影/渡辺秀之

第七十七夜【後編】

【担当記者:苫米地】

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 スーツ組に分け入るように席につくと、パレオ姿の女のコが真向かいに。胸元が大きく開き「涼しげ」な衣装に思わず乗り出す俺。カウンターについてくれたりくちゃん(20)に聞くと「コンセプトは水着なんです!」と元気なお答え。

 この値段でこの衣装。安い値段を提示して、女のコのドリンク代やサービス料でむしり取るのでは、と警戒していると、

「飲み放題で、女のコのドリンクも込みなんで遠慮なく飲んでくださいね!」

 と、隣のりかちゃん(20歳)が説明してくれた。聞けば、ここは学生中心のオールアルバイト。ほとんどが水商売は初めてで、キャバのように「プロ」や掛け持ちは皆無。素人っぽさがウリなんだとか。

 非常に気になるのは特殊なカウンター。女のコ側がガラス張りになっており、素通しなのだ。飲んで盛り上がるにつれ膝が開きがちになる女のコたち。電気街のネオンより眩しい太腿を目に焼き付けようとガラスに顔を近づけると、

「あんまり見ないでぇ~(笑)」

 と怒られてしまった……。

 あちこちで上がる嬌声。カウンターから乗り出すように女のコと盛り上がるサラリーマン。お世辞にも広いとは言えない店内だが、この狭さが熱気を呼ぶのは確かだ。

 電気街にぽつんと現れた”隠れ家”は”夜遊び不毛の地”に水をやり、花を咲かせようとしている。

【Girls Bar G-Panic】

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住:東京都新宿区西新宿1-16-11 西新宿泰和ビル2F
電:03-3348-9142
営:20時~翌1時
料:4000円(60分・飲み放題※初回のみ)1000円(10分※通常)
税5%・サ5%。指名料2000円・同伴料1000円

「♪新宿西口駅前に~」の大型電機量販店の真横。
電気街では唯一のガールズバー

撮影/渡辺秀之

第七十二夜【後編】

【担当記者:苫米地】

 店内を見回せば、まず目に飛び込んでくるのが目映いほど金色に輝く、男子憧れの”アノ椅子”。ここでは本来の用途ではなく、肘掛けとして使用されているようだが、座るだけならOK。つい条件反射で跨ると、「これに跨って政治談議をするお客さんもいるんですよ」と笑うのは元ソープ嬢のゆうなさん(27)。ここは真由美ママを慕って入店した元ソープ嬢・ヘルス嬢、有名AV女優たちが一晩のお相手ならぬ、お酒のお相手をしてくれるのだ。さっそく乾杯。真由美ママやゆうなさんの”絶対に書けないソープ裏話”に耳を大きくしていると「ハイ、足貸して~」。足下に跪かれると、やおらズボンの裾を捲られ、靴下を脱がされる。あらら? こんなところで!! と動揺していると、泡がブクブク出るナゾの機械がセットされた。

 「これがす♥べいす名物のフットバスサービスです。全身浴はさせてあげられないけど、足はキッチリとスッキリさせてあげま~す」

 アロマローションが含まれた温かいフットバスに足をつけること10分。冷え切っていた足はポカポカと温まって全身も汗ばむほどに足を丁寧におしぼりで拭かれた後は、フットジェルを使っての足ツボマッサージだ。

 「うわぁ~カッチカチ、土踏まず凝ってるね!」「これ、老廃物がタマっている証拠だから出してあげますね……」。か細い指で足のツボを的確に突いてくる真由美ママ。なんとも気恥ずかしい会話と快感に身をゆだねていると、「イデデデデ!」。「ここ生殖器ですよ~」ゆうなさんにツボを突かれ悶絶するO氏。それもそのはず、女のコたちは本格的な足ツボマッサージを体験してもらおうと終業後、日夜練習を重ねているのだとか。

 「はい、終わりです。これでここの全員が”お風呂上がり”(笑)!」

 フットジェルと足ツボの効果で疲れて重かった足は自分のものでないほど軽くなった。さすがは個室で勝負してきた女たち。トークといいフットバスサービスといい、戦う場所を替えても男を癒すツボは心得ている。

 歌舞伎町の最深部にある”大人の隠れ家”。本当の凝りがほぐれるのは足よりも心なのだ。

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足の指の間を艶めかしい手つきで超絶マッサージ。
意外な快感に身を震わせる。(右写真)ツボ押しも本格的。老廃物を出してくれる

【ライブリークラブ「す♥べいす」】

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住:東京都新宿区歌舞伎町2-17-4コリンズ37ビル5F
電:03-3208-1511
営:19時~ラスト
祝:土・日J4000円~
フットバスサービスは希望者に無料で行われる。
「お風呂上がり」をイメージした髪飾りなど、随所にシャレが
利いている。真由美ママ(写真左)の手料理サービスも隠れ
た人気とか

協力/O氏(夜遊びガイド)  撮影/渡辺秀之

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