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“ロボット化”する日本の農業。生産効率を高める技術の進化がスゴイ

今、自律して作業できる“ロボット”の開発が加速度的に進んでいる。ロボット技術の進化によって、急速に変わりつつあるニッポン産業の現場を追った。

ロボットの導入で生産効率を大幅アップ!

 農業分野でも生産効率を高めるためのさまざまな技術が生まれている。中でもヤンマーが開発中の自動運転ロボットトラクター「ロボトラ」に注目が集まっている。 「ロボトラは、1台を自動運転させ、もう1台が手動で追従運転します。これにより同時作業を可能にします。例えば1台で農地を耕し、もう1台が植え付けしていけば、作業効率を格段に向上させられます」 と語るのは同社広報担当の坂田直輝氏。 「正式なサービス開始時期は未定ですが、各地で実証実験を継続的に行っているところ」という。
トラクターのロボット化で作業効率を大幅にアップ!

トラクターのロボット化で作業効率を大幅にアップ! ヤンマーは無人ヘリコプターの開発を1980年代から始め、同社だけで250機を超える機体が運用されている。自動運転トラクター「ロボトラ」を開発中で、各地で実証実験を行っている。写真は2台のトラクターを並走または縦走させて、作業効率を2倍以上にする試み

 ロボトラだけではない。同社は現在、250機を超える農薬散布用の無人ヘリを運用する。無人ヘリ事業では世界をリードする存在だ。さらにドローンを飛行させ、肥料不足のエリアをセンサーで検知するサービスも始めた。
片山 修氏

片山 修氏

「日本の生産年齢人口は、この先、減少していくことが確実。その減少を補うためには、移民を受け入れるか、ロボット化を推進するしかありません」 と経済ジャーナリストの片山修氏は言う。そして、国民の間で移民政策のコンセンサスが取りづらい現状では、ロボット化に邁進するのが現実的だ。 「変化する際は、何事にもメリットとデメリットがある。ロボット化に関して言えば、労働効率を上げられる一方で、ハッキングなどでロボットが暴走する危険性などが容易に考えられます」  こうした危険性も考慮し、高度化していくロボットの産業活用を、今後もしっかりと注視していく必要がありそうだ。 【ロボット化する産業の実態】 ◎イチゴやトマトの収穫 画像センサーなどで、イチゴやトマトなどの収穫時期を判定。搭載アームがソフトタッチで傷つけずに摘み取る。パナソニックなどが開発中で、数年以内の実用化を目指す ◎銀行などの窓口業務 みずほ銀行は、接客業務に人型ロボットのペッパーを導入し、効果検証を行っている。すでに同行のコールセンターでは、IBMの人工知能「ワトソン」が電話応対している ◎宅配業者がドローンを活用 飛行ロボットであるドローンによる宅配は、アマゾンやグーグルが今年中に実用化すると見込まれている。日本でも、山間部や過疎地などでの実証実験が始まっている ◎介護や医療の現場でも 介護の現場では積極的にロボットが活用され始めている。対話型ロボットは、認知症の抑制や治療に効果があるとも言われる。アシストスーツは介護員の労働をサポートする ◎災害現場の状況把握に活躍中 原発事故や地震、火山噴火など、危険な現場の状況把握に活用されている。現場の環境に応じて、ドローンやヘビ型、人型など、さまざまな形状のロボットを使い分けられる 【片山 修氏】 名古屋タイムズ記者を経て、1970年からフリーランスの経済評論家。著書に『社員を幸せにする会社』(東洋経済新報社)など多数 <取材・文/河原塚英信>
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