直木賞作家・池井戸潤が語る「バブル世代はずるくない」
「その部品がなければ、ロケットは飛ばない――」(『下町ロケット』帯より)
大田区の中小企業が大企業と丁々発止の交渉を繰り広げながら、ロケット打ち上げ事業に参画を目指していくさまを描いた小説『下町ロケット』で、第145回直木賞を受賞した池井戸潤氏。30代前半に銀行員から作家へと転進を果たした池井戸氏の作品は、常に「働く人間」に焦点を当てている。
そこで、今の働く30代について、どのような見方をしているか尋ねたところ、「僕は世代論を信じていないんですよ(笑)」とにこやかにかわされてしまった。
「世代論なんて血液型占いみたいなもの。確かに、今の30代は社会に出るときに求職者数が少なくて、うまく就職できなかった人が多いけど、それを言い訳にしたり、時代や世の中のせいにするのは違う気がしますね」
池井戸氏自身も、32歳で銀行を辞めてからの2年間はまったく先が見えない「暗黒時代」だったという。だが、腐ってもしょうがないと、努力を続けてきた。
「人生は一発勝負ではないんです。いろいろな勝負の積み重ねが人生だから、実力のある人や努力をしている人が『全敗している』なんてことはないはず」
でも、やっぱり30代からみると、バブル世代はいい思いをしてきてずるいなあ、なんて思うのですが……。
「別にずるくないよね(笑)。たまたまその時代に生きていただけだから。ロスジェネの人たちはバブル世代を見て『マンガばっかり読んで勉強もしないで、いい会社に入りやがって』なんて思っているかもしれないけど、そういう人は結局、会社の中では窓際に追いやられたりしますから」
確かに、その世代に生まれた全員が幸せ、なんてことはあり得るはずもない。冒頭に紹介した『下町ロケット』の帯文のように、努力して「これだ!」という武器を見つけなれば、自分の人生というロケットもうまく飛ばないのだ。
※その他、池井戸氏の「働く30代へのエール」は、週刊SPA!12/13発売号「エッジな人々」にて存分に語られている。ぜひ、ご一読を!
文/SPA!編集部
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