【粗雑】中国ペット露店市場を激写!
環境省が2012年6月に施行を目指す動物愛護法改正案では、ペットの夜間販売などが規制されることとなった。また、子猫や子犬を何歳から販売可能にするかについては、動物愛護団体とペット業界の団体が激しく対立している。しかし、EUなど先進国に比べると、日本のペット販売に関する環境はまだまだ法整備が進んでいないのが現状だ。
一方、近年爆発的なペットブームが到来している中国の販売事情はどうなっているのか。2010年、中国全土で飼われているペットの総数は1.5億匹(熱帯魚や鳥も含む)に及び、関連産業は400億元(約5000億円)規模にもなるという。当局は増えすぎるペットに関して様々な規制を設け、上海市や広州市など都市部では「一家に1匹」制度を導入、さらに隣人による承認制度やペット身分証の発行もおこなっている。
しかし、そんな中国でも販売に関しては“無法状態”だ。取材班が訪れたのは広州市内にある清平路と呼ばれるペット市場。広州駐在日本人によると、「昔は犬猫、ハクビシンなどの食用動物がペットと併売されていたが、新型肺炎SARSの流行で、食用動物に関しては当局によりここで売るのは規制されてしまった」と言う。
現地には、ハムスター、うさぎ、犬、猫、熱帯魚、亀、トカゲ……あらゆるペットが狭いカゴや箱に入れられ、粗雑に並んでいる。店の軒先や露天で売られている光景はなかなかインパクトがある。そして道行く見物客は、勝手にカゴから出して触ったり、子供がフザけていじめていたりとやりたい放題。
ここで、驚くべき光景に遭遇! なんと自転車のカゴに子猫を入れたオッサンがやってきて、カゴから一匹づつ子猫をつまみ出し、無造作に路上のペット業者に渡しているではないか。この子猫は盗まれてきたのか、さらって来られたのか知る由もないが、胡散臭さは半端ではない。子猫を4~5匹渡すと、ペット業者はオッサンにお金を渡した。素早い動作だったので正確な金額はわからなかったが、10元札が数枚だった(日本円にして500円前後)。一匹、約100円で仕入れられたこの子猫の売値を聞いてみると、120元(約1500円)という価格が返ってきた。交渉すれば、1000円くらいにはなるのかもしれない。
動物愛護団体が見たら卒倒しそうな中国のペット市場事情だが、中国の質問系サイトには「清平路で買った子猫がエサを食べず、寝てばっかりで動かない」などの質問も寄せられており、病気にかかった動物や、生まれつき障がいのあるペットが売られているとの声もある。こうした中国の粗雑なペット販売はいつまで続くのだろうか?
取材・文・写真/バーナード・コン(本誌特約)
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