石田三成が関ヶ原の戦いに負けたのは下痢だったから!? 【歴女内科医・まり先生の歴史診察室】
さて本当に下痢が原因かは別として敗戦の将となった三成を見てみましょう。 逃亡中の山中で捕らえられた三成は、大坂、堺を罪人として引き回された後、京都の六条河原で斬首とされました。この時にこんな逸話が残っておりまさす。 処刑の前に京都を引き回された三成は喉が渇き、お湯が飲みたいと言いました。これに対し警護の侍は「水は無いが柿はある。これを食べなさい」と干し柿を差し出したところ、三成は「柿は痰の毒だから要らない」とキッパリ( ー`дー´) 侍は「間も無く首を斬られる者が毒を避けて何になる」と笑いましたが、三成は「大志を持つ者は最後まで命を惜しむものだ」と悠然としていた――というこれまた戦国ファンには有名なお話ですね。もし一発逆転で斬首を免れた場合、柿で体調を崩したら次の一手が打てなくなるからですね。 ここで、気になることがあります。 「柿が痰の毒」ってどういうことなんでしょうか。「柿は痰の毒だから要らない」とキッパリ( ー`дー´)
皆さんお察しのとおり、柿自体に毒性はありません。 果実にはビタミンCやビタミンAを多く含み、食物繊維も豊富です。薬として用いられることもあり、その効果は「肺を潤し咳を鎮める」そうです。高血圧に良いともされています。 それとですね、柿のヘタを煎じて飲むとシャックリが止まります。これ、現代医学の本にもバッチリ書いてあります。少なくとも痰に悪そうな印象はございません。 そこで浮上してくるのが、タンが痰でなく胆だったという解釈でして。 胆→腹部と考えますと、柿の食べ過ぎでタンニンが固まった「胃石」ができる場合がありますので、それがお腹に悪いと考えられなくもありません。また前述の過敏性腸症候群は特定の食物で起こる人もあり「三成が柿でお腹を下す体質だった」との捉え方もあります。うん、これで行こう! そうそう、関ヶ原のお土産でこの逸話が元になったお菓子があります。 名前はズバリ「石田三成 胆の毒ゼリー」。もらったらドン引きですが中身は美味しい柿ゼリーの模様です。 編集さん、今回の原稿料代わりに買ってきて下さいな(笑)。 文/馬渕まり(忍者とメガネをこよなく愛する歴女医)、イラスト/霜月けい <コンテンツ提供/BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)> 【BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)】 日本で初めて歴史をテーマにしたポータルニュースサイト。今回の記事の他、以下のような記事を掲載。 ●知ってる?切腹のお作法と痛~い現実! 腹を切っただけでは壮絶に苦しみ、チョ~悲惨な末路が待っている ●真田昌幸の最期は「うつ病」気配が濃厚だった!? 真田幸村の父にして稀代の名将を蝕んだ心の病柿のヘタを煎じて飲むとシャックリが止まる!?
『戦国診察室 お館様も忍びの衆も歴女医が診てあげる♪』 現代医学の観点から、戦国時代の武将の生活習慣や医療環境などを見つめなおしたショートエッセイ集 |
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