“五輪の魔物大歓迎”の飛込は東京五輪の鉄板穴場競技である
~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第35回~
※前回の話…スポーツ好きブロガーのフモフモ編集長が、東京五輪でチケットが買えそうな穴場競技探訪へと出かけました。今回の競技は、飛込。国際大会ながら部外者を門前払いしようとするなど、穴場感をプンプンさせる会場で不審者扱いされるハプニングを経て、ようやく会場入りしたフモフモ編集長が目撃したのは、飛込のあまりにシビアな現場。数ある採点競技の中でも最も過酷、ワンミスが即命取りとなる様子に釘づけとなるのだった……
試合を見ていても、とにかく一発での振れ幅が大きく、演技自体は大きく変わらないのに点数は大きくバラつきます。
例えば、実施する演技は事前に申告をするわけですが、申告した内容と一部分でも違う演技をやろうものなら容赦なく「最高で4.5点」という制限をかけられます。体操やフィギュアスケートでは、予告と合っていようが違っていようが、実施した内容で採点されるのとは大違いです。演技中のミスに関しても「台に頭をぶつけたら最高で2.0点です」「入水時に身体を伸ばしていなければ最高で4.5点です」などの容赦ない基準で採点されており、ワンミスは大差に直結してしまいます。
さらに、
「予告よりひねりすぎていたり、予告よりひねりが足りなかったらCompletely Failed扱いで0.0点です」
「飛板からの踏切が両足同時でなかったらCompletely Failed扱いで0.0点です」
などという、一発アウトの反則まで存在するのです。
リオ五輪でも男子の板飛込で「本来なら頭から入水すべき演技で足から入水した」選手が、0.0点を叩き出していましたが、どんな名選手や実力者でも最後の1本を終えるまでまったく安心できない、「五輪の魔物大歓迎」の設定になっているのです。
そして、パッと見でちゃんとした演技でも、入水によって大きく差がつきます。飛込の入水は身体を真っ直ぐにして垂直に飛び込むのがよいとされており、さらに「水しぶきが上がらないほどよい」とされます。しぶきが立たない入水は「ノースプラッシュ」と讃えられ、高得点が期待できます。高い得点が出る演技はしぶきが少なく、逆にザブーンと身の丈ほどのしぶきが上がるような演技では、難しい技であっても高得点は出てこない。
そういう意味では、
しぶきだけ見ていれば何となく勝負の展開もわかるので、とてもわかりやすい競技
です。
体操が「着地のキレイさだけでどっちが勝ったか大体わかる」競技だったら、すごく簡単そうじゃないですか。飛込は初見でもわかりやすい、飛び込み観戦に向いた競技と言えそうです。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1231752
このようにわかりやすい飛込競技ですが、わかりやすいだけでなくテンポもよい。
この連載の前回記事
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